一体何者が? もしISとかFARCとかとなれば、ことは重大だ。
アレクセイの脳裏をテロ組織の名前が去来する。
携帯が鳴った。
「どうした?」
すぐに興奮したポールの声が社内に流れてきた。
「ロジァから、たった今連絡があった! ヒューと一緒にブロンクスのボロアパートに隠れてるって! 相手は銃を持ってるらしい!! やっぱただもんじゃねー!! 場所、携帯に送った」
ヒューがポールの携帯に送ってきたという位置情報を、ポールはアレクセイに転送した。
携帯で確認すると通り過ぎているのがわかった。
アレクセイはUターンし、アクセルを踏んだ。
ロジァが無事だということだけで、不安は消えたがやがて憤りに変わった。
「一体何者だ!?」
アレクセイは画面でその位置を確認しつつ、裏通りの古い五階建てのビルの階段を上がった、一階の右端茶色の煤けたやつだ、というポールの言葉を頭の中でなぞる。
ポールはすぐに俺達も駆け付ける、と付け加えた。
来るなといっても聞かないに違いない。
アレクセイはスピードを落とし、辺りを見回しながらゆっくり車を進めた。
それらしいビルを見付けると、車を停めた。
ゆったりとした上着の下のホルスターにはマグナムが納まっている。
隣の路地から、そのビルの廻りに敵がいるかどうか探しながら、アレクセイは静かにそのビルに向かって歩いていく。
その時、ちょうどビルの階段を上がろうとする女性がいた。
アレクセイは足早に近付き、こんばんわ、マダム、とさり気なく挨拶を装いながら、つられて、こんばんわ、と返すそのマダムを追い越して階段を上がった。
アレクセイは目指す部屋のドアを見付けると、ポールに言われた通り、「TVの修理に来ました」と言った。
ドアを開けたのは、若い女性だった。
明らかにひどく怯えている。
入るとすぐにドアを閉め、「ロジァ、いるのか?」と聞いた。
奥の部屋のドアが開いて、一人の頑健な感じの青年が現われた。
しかしジーンズの太股が真っ赤である。
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