またぞろ二人の喧々囂々に、「はーい、そこまで」と坂本が割って入る。
「こいつらほっとくと、すぐこうだから」
「そっか、そんな事件があったから成瀬くんみたいな人が、南澤なんかに来たんだ」
表面上は薄笑いを浮かべながら、坂本は内田のさらなる無神経さにちょっとイラついていた。
「まあ、家から近かったからね」
佑人は佑人で力がまたブチ切れそうで気が気ではない。
「あ、俺も右に同じ。それに、ギスギスなスケジュールで勉強やるとか嫌いだし。南澤はマイペースでいけていいガッコだったよな」
坂本の余裕な発言に、「言ってろよ。てめぇがこん中でいっちゃんうさんくせぇ」と甲本が突っかかる。
「俺のどこがうさんくせぇって? ああ?」
今度は坂本が甲本に喧嘩腰になる。
ちょうど料理を運んできたスタッフがちょっとビビッて後退った。
「あ、気にしなくていいぜ、こいつ血の気がちいっと多いだけだから」
甲本が学生バイトだろうスタッフにとりなすと、手早く料理をテーブルに並べ、空になった皿を持って、スタッフはたったか戻って行った。
「何が俺が血の気が多いだ、笑わせるな」
スタッフが退散すると、バトルが再燃した。
「実は血の気が多いくせ、何も知らねぇみたくってのがうさんくせぇってんだよ。成瀬にしろ、力にしろ、俺にしろ、東にしろ、みーんな脛に傷持って頑張ってんだ。ところが南澤のセンセどもは、あの加藤ですら、きさまの正体にだーれも気づいてねぇってな、一体全体どーゆーこった?! ああ?」
「ああ、それって、陰の……」
「だーーーーーっ! んな、昔のこと掘り返して、誰が喜ぶっつんだ!」
笑いながら言いかけた佑人を坂本が遮った。
「だいたい、てめぇらはここを使わねーから、筒抜けになっちまうんだよっ!」
指で自分の頭をつつきながら、坂本が言い放つ。
「ほざいてろよ。三中あたり牛耳ってた木崎、覚えてっだろ。あいつ、そろそろ娑婆に出てくるって聞いたぜ。てめぇのお蔭でムショ送りになったっつって、かなり根に持ってるってよ」
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