思い切り面白くなさげに力が喚く。
「やっぱ、ガチで佑人とやりあったら、俺、負けるかも」
甲本がまたしみじみという。
「呆れた、甲本の頭って、どうしても喧嘩の勝ち負けにいくんだ? そんなんでよく医学部なんか入れたわね」
呆れた声で内田が言い捨てる。
「え、ウソ、医学部なの?」
またまた思わず甲本を凝視した白石が声を上げる。
「そうそう、医学部! バカ大だろうが、医学部は医学部! ちんぷんかんぷんな授業とかあってさ、もうどうしよーかと」
珍しく心の底からの訴えという態で、甲本ははあ、と大きくため息をついた。
「アニキに聞けば? 国立医学部出た秀才じゃん」
どうでもよさげに言って坂本はビールを飲み乾した。
「あのクソ兄貴が教えてくれるもんなら、こんなところでナゲキカナシムかよ!」
「ま、自分でやるんだな。てめぇが選んだ道だろーが」
力がもっともらしいことを言って、さらに甲本をへこませる。
「あれ、力、タバコやめたんだ? 昔はお酒飲むと絶対タバコだったのに」
不意に内田が言った。
そういえばと、佑人も最近思っていた。
力だけでなく、いつ頃からか坂本も吸っているところを見たことがない。
「んな、身体に悪いもんやるのはコーコーセーまでって決まってっだろ」
あたりめを口にしながら、坂本が代わりに答える。
「呆れた、何その言い草。まさか甲本も? 灰皿がない」
「何だよ、そのまさかってのは。お前、医学部行くのに身体に悪いコト、やれっかよ。しっかし、周り、タバコのタの字も知らねーよーな、ぼっちゃん、じょーちゃんばっかで、さすがに疲れんだよな、甲本医院のおぼっちゃまくんでいるの。東じゃねーが」
内田がケラケラと笑う。
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