こういう時、佑人の食べられないものを除いての選択に、力の気遣いを感じて嬉しくも気恥ずかしくて、佑人は俯きがちに皿にまだ残っている揚げタコ焼きをつつく。
トロトロしているつもりはないが、こうやって大人数で何かという時、何となく一歩引いてしまう癖はなかなか修正しようがない。
アルコールも入っているし、気の置けない仲間の集まりだから気分はいいのだが、そんな佑人が力から見るとじれったいのかもしれない。
そのうち内田たちの待ち合わせの相手二人がやってきて、「じゃあね」と内田と白石が席を立った。
「もう行くのかよ、おい、白石ちゃん。内田でも花の端くれだったのによ」
「ナニソレ! 覚えてなさい、甲本!」
振り返って睨みつける内田に、普通の学生な二人が、「どういう知り合い?」と、ちょっとビビりが入っている目を甲本とその仲間たちに向けてから、四人は奥の席へと向かった。
「あーあ、まぁたヤローどもだけに戻っちまった~」
ガックリ項垂れる甲本を無視して、「んで、夏休み、どこ行くよ」と坂本が嬉々として口を切った。
「やっぱ、海だろ、海! 夏に海行かなくていつ行くよ!」
「俺、ここんとこ週末ウインドサーフィン三昧だからな、いまさら海とかパス」
東山の提案に、坂本がにべもなく切って捨てる。
「モデルとかで女の子わんさかのくせに、贅沢湘南ボーイめ!」
「結局目的はそっちかよ。テニスサークルの女の子はどうしたよ」
「うっせー、お前と一緒にすんな! とりあえずリハっつうか、下見っつうか……」
最後はボソボソと東山は口ごもる。
「俺、キャンプとかいいな。ガキん頃、林間学校がいっちゃん面白かったし」
啓太の発言に、「なる、オートキャンプっての、よくね?」と坂本がみんなの顔を見回しながら、バッグからタブレットを取り出した。
「おっ、いんじゃね? それ! 兄貴が去年キャブコン買いやがって、そいつ借りようぜ」
半挙手した甲本が賛成の意を示す。
「ここなんか、どうよ? 釣りとかバーベキューに、テニスコートもあるぜ、東」
坂本はタブレットをみんなに向けて見せる。
「まあ、そんなら、いいぜ? 山でも」
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