翌日、ネットプライムに行った良太は何らかの進展を期待したが、事件のあったスタジオだけがまだ立ち入り禁止なだけで社内は何らいつもと変わらず、別のシーンの撮影を他のスタジオで行うことになっただけだった。
「当分、あのスタジオ使えないらしいよ」
これから撮影が行われるスタジオに入るなり、ジミーが言った。
既にスタッフたちがセッティングをしているところだった。
「だろうね。ベンはどうなったんだろう」
良太はずっと気になっていた。
おそらく弁護士がついているはずだが、まだ容疑は晴れないんだろうか。
「ちょっと状況が悪いよね。もっと他に何か出てきたり、ベンに有利な証拠とか、だったら、また違ってくるだろうけど」
ジミーは眉を顰めたまま言った。
「だな。どうなってるんだろ、捜査の方」
良太は何とかして知る方法はないだろうかと思い巡らした。
「どうだろう、フランコに聞いても答えてくれるかどうか」
「一応、後で聞いてみるよ」
良太は頷きながら手に持っていたコーヒーを飲む。
フランコがどの程度知っているかわからないが。
「良太、ジミー」
その時、二人は声を掛けられて振り返った。
そこにいたのは、レイチェル・ゴードンだった。
「レイチェル」
レイチェルの顔は楽しくおしゃべりをしようというような顔ではなかった。
「お願いがあるの」
必死な表情でレイチェルは言った。
「このままだと私、犯人にされてしまうわ! お願い、あなたたちとほぼ一緒にスタジオに入ったことにしてほしいの」
「え、それってどういう? どうしてレイチェルが犯人にされるわけ?」
良太が聞いた。
「だって、ベンが私の方が先にあの場所にいたって、警察で話したらしいの。それで、刑事が来て私にいつからあそこにいたって聞いてきたのよ」
良太とジミーは顔を見合わせた。
「レイチェルはベンより先にあの場所にいたわけ?」
良太は聞いた。
「それはだからベンがそう言って……」
レイチェルは段々声が小さくなる。
「実際レイチェルがベンより先にいたのなら、ちゃんと警察にもそう言った方がいいよ。問題はいたかいなかったかより、誰がデビッドを殺害したかなんだから」
良太ははっきりと言った。
「わかった。あなたたちに頼んだのが間違いだったわ」
するとレイチェルはそんなことを口にしながら身を翻してスタジオを出て行った。
「どういうこと?」
ジミーが首を傾げた。
「レイチェルは俺らに、アリバイの偽証を頼んできたんだ」
良太は答えた。
「え………でもレイチェルは俺らが言った時、悲鳴を上げてあの場所から後ずさりしてきたんだよな」
昨日のことを思い出しながらジミーが言った。
「そうだよな。レイチェルが先にあの場所にいたのなら、その行動って妙だけど」
「第一、ナイフを持って血まみれだったのはベンだし」
「そうだ」
良太も首を傾げながら眉を顰めた。
ベンは何て言っているんだろう。
レイチェルは何であんなことを言い出したんだろう。
アリバイの偽証って。
何だかおかしな展開に、良太は首を突っ込むつもりはないが、何があったかは知りたいという思いが強くなった。
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