月鏡11

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 三十七階にあがると、良太は指定された部屋のチャイムを押した。
「お疲れ~、良太ちゃん、仕事の方は大丈夫?」
 藤堂に迎えられて中に入ると、いきなり一面に広がる夜景が目に飛び込んできた。
「ええ、まあ。遅くなりました。何かすんごいロケーションですね」
 広いスイートルームでは、あちらこちらでワインやシャンパンの入ったグラスを手にゆったりと談笑しているのはスキー合宿に来ていたメンツや知り合いがほとんどだ。
 昨日招集をかけたにしては、みんなコスプレに気合が入っていて、モデルや俳優陣が多いのでまたそれがサマになっている。
「遅いじゃないの、良太ちゃん!」
「……ひとみさん、結構飲んでますね?」
 いきなり大御所女優である山内ひとみに後ろから抱き着かれて、良太は怪訝な顔を向けた。
「やだ、こんなの序の口よ。良太ちゃんも飲もう!」
「すみません、ひとみさん、ちょっとあっちで休みましょう」
「なによ、須永! あんた生意気!」
 ひとみがマネージャーの須永に連行されていくのを苦笑しながら見ていると、「どうぞ」と浩輔にシャンパンの入ったグラスを渡された。
「どうも、すみません、準備手伝えなくて」
「全然、大丈夫です。秋山さんがいろいろ手配して下さったので、お土産運ぶくらいで」
「あれ! 良太、あたしがやった衣装、どうしたのよ!」
 良太を見つけて早速文句をつけたのはアスカだ。
 シャープなメイクのアスカも、念の入れようが半端ない。
「ちゃんと着てますよ、スケルトンのTシャツは。もう、忙しくておちおち着替える暇がなくて。エレベータから降りたら工藤さんが、かぼちゃパーティなんかとっとと切りあげて戻れとかって電話で怒鳴るし」
 ゴスロリ風の直子はビスクドールの大人版のような雰囲気で、ミリタリー風のコスチュームを着せられた佐々木とその隣には大柄な燕尾服の沢村がいるのを良太は確認した。
「工藤さん、大阪じゃなかったの?」
「早めに終わったんで、新幹線で戻ってきたらしいです」
「ふーん、相変わらず横暴!」
 アスカの後ろから、「良太ちゃん」と直子が声をかけてきた。

 


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