月鏡41

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「けど、千雪さん、大学は? 皆さん仕事は? 大丈夫なんですか?」
「ああ、平気平気。京都温泉旅行のためなら、親戚の叔父叔母の一人や二人殺したかて……」
「千雪さん、また物騒なことを平気で口にするし!」
「俺は全然大丈夫っす」
 加藤の返事も微妙に喜んでいるようなニュアンスだ。
「わかりました。じゃあ早速……って、いつからいつまでです?」
「それは良太の都合に任せるわ」
 それでいいのかと首を傾げる良太だが、「じゃあ、火曜日から何泊?」と念のために聞いた。
「良太の戻ってくるのは?」
 千雪が切り返す。
「俺は月曜ですけど……」
「じゃ、一緒に帰るんがええやろ?」
「わかりました、ツイン三部屋でいいっすか?」
「ええよ」
 良太は露天風呂付温泉ホテルのツインを三部屋、予約した。
 結構な額になるが、工藤が奮発しろと言った手前、格安はパスって、間近ではあったが、グレードの高い部屋は何とか予約できた。
「朝食付きですが、昼夜の分は領収書下さい」
「良太はどこ泊まるん?」
「俺はクルーたちと一緒のホテルです、あ、檜山さんとか、俳優陣はプリンスとか」
「良太も俺らと一緒に泊まったらええやろ」
「え、いや、俺は監督と打ち合わせあったりするし」
「寝るときは別やろ? 何なら俺と一緒の部屋にしてもろたら」
「絶対嫌です!」
 良太は断固として拒否った。
 背後霊と一緒の部屋とか冗談じゃない。
「ほな、檜山さんも一緒に来たらええやろ」
 千雪はごり押しする。
「いやでも、檜山さんはお一人の方が、演者の方は色々考えることがあると思うし」
 千雪は立って良太のパソコンを後ろから覗き込む。
「このグレードやったらええんちゃう? みんなで飲み会もでけるし。檜山さん案外ざっくばらんな人やで? 聞いてみたらどや?」
 強引な千雪の意見に負けて、良太は檜山に連絡を入れた。
「すみません、ホテルの件ですが………」
 千雪らが温泉旅行に行くという話をすると、檜山は、「俺も行きたい」と即答した。

 


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