天野さんが言ったことがもし本当なら、小宮山さんと運転手は繋がりがあるってことだよな。
ああもう、早いとこ何とかしないと。
これ以上やつらに好き勝手させてたまるか。
良太の中で静かに怒りがこみあげてくる。
小宮山が運ばれた病院に着くと、救急外来を訪ね、小宮山の部屋を教えてもらった。
「広瀬さん、わざわざ申し訳ありません」
良太が顔を覗かせると、小宮山は身体を起こして殊勝な顔をした。
「いえ、こちらこそ、管理がいたらずに申し訳ありません。大変な目に合われましたね」
「どうも足を骨折しているということで、頭とかは擦過傷程度のようです」
右足や頭に包帯を巻かれているし、これでは仕事はできないだろうことは明らかだった。
「そうですか。病院の費用はもちろん、ギャラも契約通りお支払いいたしますし、保険もおりるはずですから、ゆっくり養生してください」
できる限り誠心誠意という態で良太は言ったが、心の中では、全く別のことを考えていた。
もし容疑が確定したら、こっちが損害賠償請求するからな。
「ありがとうございます。しかしほんと申し訳ない、撮影の途中だというのに」
「いえいえ、ご心配なさらず、あとはこちらで何とかしますから」
放映されてから、あなたが逮捕されたりしてドラマにケチがつくことを考えたら、全然大丈夫だ。
言葉とは裏腹に冷ややかな目で小宮山を一瞥すると、「では、私はこれで。あ、刑事さんが事故のことでお聞きしたいといらしてます」と良太が言うか言わないかで、田島と伊藤が入ってきた。
「失礼します。武蔵野署の者ですが、事故について二、三伺いたいんですが」
二人は警察手帳を見せながら言った。
喫茶店を出る時、店のスタッフにも聞き込みをしていたので、良太より後になったらしい。
良太は二人に会釈をして病室を出ると、会計の場所を聞いて階下へ降りた。
今日の入院治療費をカードで支払い、翌日以降の分は会社に請求してもらうように頼むと、良太は車に戻り、今日の午後には北海道から戻っているはずの谷川に電話を入れた。
やはりここは元刑事、いや元警部補である谷川にも相談しないわけにはいかない。
「そんなことが? 明日オフィスで詳しいことは聞きますが、ちょっと気を引き締めてかからないと」
良太が、これまでの事件の経緯や小田事務所と加藤たちも動いていることなどをかいつまんで話すと、谷川は怒ったような口調で言った。
「しかしその小宮山って、叩けば埃が出そうですね」
「ええ、天野さんの話だと、自分でわざとこけて車にぶつかったらしいってことで」
「そこまでするってことは、糸を引いているやつに相当な額をもらうことになってるんでしょうが」
「こちらとしては、むしろ降板してもらって有難いってとこですが」
「後で警察沙汰になったら番組にケチがつきますからね」
谷川も良太と同じようなことを考えたようだ。
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