真夏の危険地帯35

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 ここのところ晴天続きで暑いなんてものではなかったが、土曜のライブはいつも以上に盛り上がった。
 さらにアンコールで現れたサプライズゲストには、オーディエンスは沸きに沸いた。
 みっちゃんの思惑通り、ファンはいつサプライズゲストがまた現れるかと毎回ライブに足を運び、そしてご褒美のようにこうしてマスクの元気を投入することで、一層歓喜を味わわうことになるのだ。
 しかもボーカルの一平がマスクのギタリスト元気にやたらと絡むので、そのたびに悲鳴や絶叫の混じった歓声が沸き起こる。
 これはバックステージで久々豪とを顔を合わせた一平が豪を悔しがらせるためにわざと元気の肩を引き寄せたりするわけで、豪は豪で一平の挑発に簡単に乗せられて頭に血が上ってしまうのだ。
 元気も豪と一緒に来ていることで、何を気にすることなくギターに集中できて、自分でもこれだと思える音を出せたことに感慨もひとしおだった。
「すっげえ、いい!」
 バックステージでは、豪が叫ぶ。
 紀子と優香は抱き合って再会を喜び、東は初めて足を踏み入れた巨大なステージや観客のすごさに圧倒されていた。
 八時にアンコールが終わるとまだ観客のどよめきが収まらないうちに、元気と東、紀子はスタンバっていた豪のSUVに乗り込んだ。
 車は湾岸道路をしばらく走り、やがて東関東自動車道に乗ってから約三十分ほどでホテルに到着した。
 それから四人でホテルのレストランで夕食を済ませた後、それぞれの部屋に引き上げた。
 どうせみっちゃんに経費で押し付けるつもりだったので、元気はエグゼクティブツインを四部屋取ったのだが、十二分に寛げる広い空間だ。
 女子との買い物がどれだけ恐ろしいものかを体感した後に、四時頃にはスタジアムに向かい、ライブは夢中であっという間だったものの、車の中で疲労はどっときたようで、元気はホテルに着くまで眠っていた。
 部屋に戻ると、元気は広いバスタブに湯を張ってしばらく浸かり、うとうとし始めて慌てて風呂から上がり、もう寝ようと ベッドに向かおうとしたところでチャイムが鳴り、ドアがノックされた。
 テーブルに置いた携帯もメッセージか電話かの通知でチカチカしている。
 豪なのはすぐわかったが、いい加減疲労困憊状態で豪の相手は遠慮したかった。
 放っているとまたチャイムとドンドンとノックではなく叩いている。
 よもや一平とかではないだろうと一応ドアに近づいて、誰だと聞いてみる。
「俺」
 仕方なくドアを開けた元気が「俺は今日めいっぱい疲れて………」と言う間もあらずこそ、そのまま豪に押し倒されていた。

 


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