「佐々木さん、とにかくスケジュール、教えてくれよ。何か例のクスリで捕まった俳優の関係で、忙しいって?」
「まあな。このクソ忙しい時に、メンドイことしてくれよって」
沢村に顔を覗き込まれて、佐々木は眉を顰めつつ答えた。
「そっか、どっかで時間取れたら、またスキー行くだろ? 俺、合わせるからさ」
「そうやな……」
返事は低めのテンションだが、実際佐々木はこうして周りに人がいるにもかかわらず沢村といたかった。
会いたかった。
それは如何ともしがたい事実で。
昼過ぎに連絡があった時、七時に迎えに来るはずが、藤堂主催のハロウィンパーティに行かないかという沢村にそんなものはパス、と断って電話を切ってしまってから、柄にもなく後悔していた。
お互い忙しくてもう三週間ほども会っていなかったのだ。
この際ハロウィンパーティであろうと何であろうと、会えるのであれば行くと言えばよかった。
そんな沢村の想いを見透かしたように、直子がどうしてもハロウィンパーティに行きたいと言い出した。
幸か不幸か直子に言われるとよほどでない限り否とは言えなかった。
互いしか見えなくなっていた二人をよそに、パーティはお開きとなり、本物のホテルマンとケータリングサービスを頼んでいたレストランのギャルソン数人がやってきて、てきぱきと片付け、藤堂が続きはラウンジで盛り上がろうとか何とか言うと、浩輔が一人一人に可愛いかぼちゃバルーン付きの有名ショコラティエで特注した小さなチョコレート菓子の包みを渡して送り出した。
さすがに人の気配がなくなると佐々木は、「もう帰らなあかんで」とあたりを見回した。
「いいんだ」
「え?」
「ここ藤堂さんと折半したから、来いよ」
沢村は佐々木の手を引いてさっきまでパーティ会場になっていたリビングを通り抜けた向こうにあるベッドルームへと誘った。
「こっちは使ってないし」
酒が程よく回って少しばかり余計なことを考えるのをやめていた佐々木は沢村の手を放したくはなかった。
沢村が支払うというのを藤堂はパーティを速攻決めた際、仕切りたいから折半でと申し出た。
確かに祖父がホテルのオーナーと懇意だというプラグインの河崎の名前を出さなければ、このホテルの最高級スイートでパーティをなどという話を前日にOKを取り付けられたかどうかわからない。
いずれにせよ手段は何でも、沢村にとってはどこでもよかったのだ、父親の息のかかった“間者”を欺いてとにかく佐々木に会えるのなら。
一応、良太やアスカや藤堂や自分に協力してくれたみんなの手前、沢村も性急な行動は極力抑えていた。
だから少しでも佐々木に触れてしまえば、抱きしめて口づけずにはいられない。
唇を重ねればもう際限なく欲しがってしまう。
執拗に、息を止めかねないほどに佐々木の口腔を舐り、佐々木の身体から力を奪っていく。
こめかみや髪、頬から項へとに唇を這わせながら沢村は直子がスタイリングした佐々木の、それがいかに佐々木によく似あっていようと沢村の前にはただ邪魔くさいだけだったジャケットやパンツを脱がせ、最後にタンクトップもウザった気に捲し上げると縺れ合ったままベッドに倒れ込んだ。
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