Winter Time24

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「ブラピばりのいい男と、アンジェリーナ・ジョリーも裸足で逃げ出すようないい女がこうして一緒にいれば、人も羨むカップルに見えるのにさ。実状はただの悪友以外の何者でもない」
「誰がアンジェリーナ・ジョリーだ?」
 フン、と言い捨てて工藤はグラスを空ける。
「だってあたしにはやっぱブラピの方が似合うと思わない? 須永ちゃん」
 夢見がちな台詞を向けられた須永は、いつのまにかソファにもたれてぐっすり眠り込んでいた。
「もう、弱いんだから~、須永っちってば」
「お前がこき使いすぎるんじゃないのか? とっとと連れて帰ってやれ」
「うるさいわね。高広こそ、ちゃんとイブくらいらしいことをしてあげるんでしょ?」
「らしいことって何がだ?」
 怪訝な顔で工藤は聞き返す。
「良太ちゃんによ! プレゼントするとか、ディナーとは言わなくても一緒に食事くらいするもんでしょうが。いくら忙しくても」
「女やガキじゃあるまいし、男がクリスマスだ、何だと浮かれてられるか」
「パワハラって知らないわけじゃないわよね? ほんと高広って見かけとは裏腹に日本人のオヤジそのものだわね。良太ちゃんに逃げられて後悔しても遅いんだから」
「それこそ余計なお世話だ」
 工藤はつぶれた須永を担いで店を出ると、ひとみの車を近くの駐車場に置いたまま、タクシーを拾った。
 須永をマンションに送り届け、ひとみを自宅マンションの前で降ろした後、工藤は一瞬乃木坂に行ってみるかと思ったが、思い直して運転手に高輪を告げる。
 誕生日ならまだしも、クリスチャンでもないのに、プレゼントだの、アニバサリーだのやりたいものなのか。
 若いやつらは女が喜びそうなものを利用して、ただ女をモノにしたいだけだろうが。
 とはいえ、ひとみに言われるまでもなく、少しは気にしないではなかった。
「メシでも食うか」
 高輪の自分の部屋に戻ってきた工藤は、タイを緩めながらボソリと呟いた。
 明日、スタジオから戻るのを少し早くすれば、食事をする時間くらい取れる。
 この時期はどこも混んでいるが、あの店なら予約なしでも二人くらい潜り込めるだろう。
 気取ったレストランなど苦手な工藤は西麻布の割烹料理屋を思い浮かべる。
 女ならフレンチとかイタリアンとか言いそうだが……。
 良太のやつ、早速イブは夕べの女と一緒に、なんてことになってるんじゃないだろうな。
 工藤としては実は内心穏やかではない。
 ここのところ飛び回っている上、ろくに話をする間もなかった。
 それに、良太はまだあの時のことを根に持っているらしい。
 鴻池の顔が目の前をチラついて、工藤は少しイラついた。
 真夜中の三時に電話をするほどのことでもないだろうが。

 


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