雪の街16

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「るせーな、俺は今日はここのバイトなんだよ。たむろしてねーで、手伝え!」
 眉間にしわを寄せて朔也が言い返す。
「バイトだぁ?」
「だから、明日、元気とスキーつき合ってもらうって言っただろーが」
「おい、お前、また、元気、朔也にちょっかいかけてんじゃねーだろな」
 朔也の出現だけならまだしも、GENKIの乱入の上に、すっかり同窓会のノリで大騒ぎの朝倉たちに清隆の呆れた発言とくれば、元気が大きくため息をつくのも無理はない。
「ったく!」
 ギターを片付けていた元気はすくっと立ち上がると、バン!! とカウンターを叩く。
「どいつもこいつも、勝手なことばっか! 邪魔するつもりなら、とっとと出て行く! わかったか?!」
 休火山の爆発ほど怖いものはない。
 一瞬、シーンと静まり返る。
 が、次にはみんな、ごそごそとテーブルや椅子をもとにもどしたりと、動き出した。
 GENKIの面々も例に漏れない。
 さすがに腕まくりした涼子が、カウンターの中にグラスを持ってきて洗い始めた時は、元気も「ああ、涼子はいいよ」と声をかけたが、「やだ、今更遠慮とか、ないでしょ、私たちの仲で」と笑う。
「いや、何か、あとが怖いっつうか……」
 実は、みっちゃんや涼子からは再三、曲の提供だけではなくGENKIの活動に少しでも参加しないかとさりげない誘いをかけられている元気は涼子の笑いの奥が計り知れないでいた。
「ちょっとぉ、やっぱ、あんたって、川口朔也じゃないの!」
 その中でやはり強かったのは紀子だ。 
「それがどうしたよ」
「遠藤とか言っちゃって」
「母親が結婚するまでは、遠藤だったんだよ」
「そうなんだ?」
 それにしても、元気はやっぱタダモノじゃない。
 心の中で感心してしまう朔也だった。
  

 イブが終わり二十五日に突入した頃に紀子も帰った後、いつの間にか元に戻されたテーブル席では、高校の同窓会組とGENKI組とが差し入れに持ってきた酒を出してきて勝手に二次会に突入していた。
「川口さん、がこんなところにおられるとはつゆ思いもよらず、失礼しました」
 さっきから話していた相手が朔也とわかると、さすがに豪はしゃっちょこばって挨拶した。
「フン、いいってことよ。お前には元気しか見えてねぇみたいだしな」
 途端、豪は顔を真っ赤にして、また頭を下げる。
「いやいや、こいつ、元気というものがありながら、夏、超人気の井上美奈子のことマスコミにすっぱぬかれて、元気に三行半突き付けられる寸前で」
 笑いながら朔也に余計なことを教えたのはみっちゃんだ。
「ちょ……! あんなのデマだって、みっちゃんだって知ってるだろ!」
「お前な、あの、元気を相手に、そんなことをしちゃおしまいよ?」
 同窓会の輪から出張して乱入してきた松田はもう一杯機嫌で声もでかい。
「昔っから、元気のやつには取り巻きが大勢いてよ、別れたと聞きゃ、老若難所問わず候補者が後をたたねぇってやつで」
 朔也までが、だろうな、と同調する。

 


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