ゆらゆらと揺れるベッドの上で良太は素っ裸でぼんやりとあたりを見回した。。
「飲むか」
シャワーを浴びて、腰に一枚タオルを巻いただけの工藤が差し出したボトルを受け取ると、ちょっと身体を起こして半分程飲んでからそれがビールだと分かる。
「人非人! 腐れ外道!」
思い出したように良太は喚く。
「ボキャブラリーのないやつだ」
ビールを飲み干すと、工藤はせせら笑う。
「るさい!」
その時、良太のぼんやりした脳裏をよぎった言葉。
モトノモクアミ………。
「ちくしょ……」
いつまでたっても俺はやっぱりガキで、情けない。
大体こんな海千山千のクソオヤジに勝てたって、嬉しくもなんともない!
「嘘つきヤロウ!」
「ったくいつまでもうるさいやつだな。まだ足りないのか?」
工藤が身体を倒してくる。
「もう、やだ……」
抗う良太の拳に力が入らない。
「こっちは元気そうだぜ」
「エロオヤ……ジ………」
工藤のいやらしい指に、良太の中の熱が再燃し次第に吐息が甘くなる。
静か過ぎる。
だが、身体の中は暴風雨だ。
良太はふと、このままどこともわからぬ深淵に工藤と二人沈んでいくような錯覚を覚えた。
非日常の夏のひと時も、明日になれば消え去るのみ。
そんな台詞でもいいたげに、いつのまにか濃い藍の空に浮かぶ宵の明星が、たゆたう波に漂う白いクルーザーを優しく見下ろしていた。
back top Novels
