「そうでっせ? 俺なんか、てっきり先輩、マシなナリしたら彼女とかもでけるとかって、力説しよったのに、タネ明かせばこんなんやし、もう何年も騙されてましたわ」
酒で口が軽くなった佐久間がぼやく。
「お前は気づかな過ぎちゃう? 正月も千雪、メガネなんか外しとったぞ」
三田村がバシバシと佐久間の背中を叩く。
「にしてもやっぱこっちの子はきっついわ。さっきのモデルの、中川アスカ? めちゃきれいやのに~」
「お前また、桐島に言いつけるで~」
辻が三田村にじゃれる。
「ゲーノー人は別格やろ? たまたま近くにきただけや」
「そのゲーノー人に追っかけられとるのがまた千雪ときたもんや」
「アスカのきついのはガキの頃からだ。こっちの女がみんなきついわけじゃないぞ」
京助が苦笑する。
「そやで? 小夜ねえなんか全然きつうない………ようにみえるけどな。実は小夜ねえて、言い出したらてこでも動かんもんな」
千雪も同調しようとして、違う方向にいってしまう。
「小夜子さんはそそとして、優しいやん」
三田村が頷いた。
「こら、千雪、その辺にしとき」
二杯目の焼酎の水割りをゴクゴク飲んでいる千雪に、あまり口を開かない研二が気づいて注意した。
「このくらい飲めるわ………」
飲みたかったのだ。
ふわふわと楽しくなれば、嫌なことも忘れられる。
うつらうつらし始めた千雪はそのうちベッドに凭れて寝てしまった。
「今日は体力使ったからな。限界だろう」
千雪を見て京助が言った。
割と早めに飲み会はお開きとなり、千雪はそのまま研二のベッドに寝かせ、研二は千雪のベッドへチェンジすることになった。
翌朝、千雪は割と早く目が覚めた。
「あれ………?」
隣でがーがー寝ているのは三田村だ。
「俺、あのまま寝てもうたんか……」
研二にまた手間をかけさせたのだと、はあ、とため息を吐く。
トイレを使い、顔を洗うと、千雪はそっと部屋を出た。
会社の保養施設にしているというが、廊下に出れば向こう側の階段まで長く続いており、部屋もたくさんあるわけだ。
しかも部屋にバスルーム付きでまるでホテルだ。
何時なのかはわからなかったが、せっかくなので散歩に出てみることにした。
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