メリーゴーランド201

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「子どももできて、これからだったろう。答えたくなきゃいいが」
「真由子が産後ウツみたいになってしもて、別れてくれて言われたんです。俺といるとひどくなる一方で………」
 研二は重い口を開いた。
「そうか。まあ、精神的なものは簡単にはいかないわな」
「はあ」
 言葉が途切れる。
「で? どうするんだ?」
「どうするて………」
「シングルになってフリーになって、東京に来たんだろ? 千雪に手が届くところに」
「別れたんも東京にきたんもたまたまで、千雪が居心地がええとこにおんのに俺がどうのという資格もないですやろ」
「千雪の方はお前が近くなって舞い上がってるぜ?」
 研二は苦笑した。
「そんな、わけ、ないですやろ………」
「江美子というお前にとってはネックもなくなった」
 これには研二もカッとなって京助を睨み付けた。
「お前らはさ、三人で支え合っていたかのようで、実は互いに枷になっていたんだ」
「そんなことは」
「ないと言えるか? 最初にその枷を外したのは江美子だった。結婚式の前の日にわざわざ千雪に会いに来て、何て言ったと思う?」
 研二は険しい目を京助に向けた。
「お前が好きだったのは千雪だ、ずっと大事だったんだと」
 研二は目を見開いた。
「だがお前が何も言わずに結婚しちまったことで、千雪は江美子の言葉を過去のことにしちまった」
 全く千雪もアホだ。
「お前らは互いに相手を大事に思って己を引っ込めることを選んだつもりだろうが、そんなのは似非なんだよ」
 辛辣な京助の言葉が研二の胸に突き刺さる。
「結局お前がワイフと別れるのなんか江美子には想像がついていたんだろ。巡り巡って、現実は思いもよらない方向へ動いちまった。言葉にしなけりゃならないことはきっちり言えよ」
 そう言い切ると、きつい眼差しで京助は研二を見据え、やがて踵を返してカラオケルームと化した部屋へと戻っていった。
 アホは俺か。
 ソファに座ると、京助は残っているシャンパンをグラスに注ぎ、一気に飲み干した。
 わざわざ恋敵を同じ土俵に上げてどうするよ。
 千雪が研二のところに戻っちまうのが怖いくせに。
 だがまるで、全てがそうなるように仕向けられてるみたいな流れじゃないか?

 


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