ハ……、実は了見の狭い独占欲ばかりの器のちっせえ男だってのは、自分でよくわかってるさ。
テーブルに置いてあるジャックダニエルに手を伸ばすと、空になったグラスに注いでストレートでゴクゴクと飲む。
視線の先には酔っぱらってアスカと何やら笑い合っている千雪が見えた。
アスカもありゃ、酔ってるな。
この二人、潰れる前に部屋につれてかねぇと。
そこまで考えて、根っからの世話焼き気質に、また速水にお母さんかとか言われるな、などと苦々しく笑う。
と、その速水と目が合った。
何か言いたそうな顔を向けているが、京助は無視した。
「おっと、ええもん飲んではる~」
辻が目ざとく京助の前に置いてあるジャックダニエルを見つけて寄ってきた。
ボトルを持ち上げると、辻はグラスを差し出した。
「渋いわ、ジャックダニエルとか」
「きっぱりしてるから好きなんだよ」
「らしいわ。お、うま!」
辻は本当に美味そうに口にした。
「京助さんクラスなら、もっと高級モルトとかって感じやのに」
「俺クラスって何だよ。そりゃ、温泉旅行にドンペリ何本も持ってくる理香や克也だろ、キャベツ一つの値段も知らねえ」
京助はまたグラスに酒を注いだ。
「ああ、千雪のやつも知らねえな」
それを聞くと辻はげらげら笑った。
「あいつ、変なヤツなんや。これでも高校の頃はゾクとかやってて近づいてくるヤツおれんかったのに、あいつ普通に声かけて来よって。江美子もや。女で俺と話したんは江美子くらい」
「でかいグループだったって? よく捕まらなかったな」
「補導くらいはあったけど、そこはうまいことすり抜けて、学校なんかではおとなしゅうしよったし、ゾクなんか卒業と同時に卒業や」
どんな修羅場を潜り抜けて来たのかは知らないが、ガタイのでかい同士でも研二とは違い、時折、この男は凄みのある気配をみせることがある。
しばらくして戻ってきた研二は三田村の横に座った。
少しだけ眉を顰めたのは、千雪とアスカが酔っぱらってヘラヘラ笑っているのを見たからだろう。
「あいつも大概、世話焼きだな」
つい京助の口から言葉が漏れてしまった。
「ああ、研二? ほんま、昔っから千雪の保護者かってくらい」
京助は苦笑した。
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