「うーん、まあ、弱いものイジメとかどこにでもワルはいてますやろ? 千雪のやつは腕っぷしが強いわけやないのに、それがでかい上級生でも食って掛かりよって。おまけにあの毒舌であの顔ですやろ。しかも校内で公衆の面前で恥かかされよったら、このやろ思う輩がいてたんですわ」
京助はグラスを持つ手を止めて辻を見つめた。
「今時メモなんかで千雪を呼び出しよるから、千雪がそれを見る前に研二が抜きとって代わりに行くわけですわ」
京助は黙って聞いていた。
「たまたま裏山に歩いて行く研二を見て、ピンときてあとつけたら案の定四、五人ガラの悪い連中が待っとって、研二を見くびっとるから返り討ちに合うのが関の山なんやけど。加勢するまでもなく高みの見物しとったら、ナイフなんか振り回すヤツがおって、研二がうっかり膝下に怪我してもうたことがあって」
そういえばと京助は、風呂で、研二の足に割と大き目な傷があるのを見たことを思い出した。
「研二のヤツ、それ千雪にずっと隠しとったんやけど、それがさっき、俺らうっかりそんな話してたんを千雪に聞かれてもて、千雪はハブにしたゆうて怒りまくりで」
フンっと京助は鼻で笑った。
それでか。
一人でやって来て歌いまくったのは。
「俺らも社会人やし、少しはましになったと思うけど、千雪のあのコスプレはなかなかいい選択やおもいますわ。あいつ、ただでさえ目立ちやすい上に、変に正義感かざして突っかかりよって」
だが、研二に陰で護られていたという事実を知って、千雪は何を考えた?
まさしくパンドラの箱だな。
「ちょっとユキ! もう寝てないでよ!」
京助が千雪に目をやると、船をこぎ始めている千雪をアスカが揺り動かしている。
「うう……うるさいな」
顔を上げたと思うや、千雪はすくと立ち上がり、ほてほてと歩いて部屋を出た。
研二が気にしながらも、千雪に声をかけないのは、話を聞かれて千雪が怒りまくったせいらしい。
なんか、どいつもこいつも、うざったいったらないな。
佐久間と三田村はさっきからアニメソングのメドレーで歌いまくっている。
ドンペリは秋山が進呈していった三本は既に空、理香が開けた二本もとっくに飲み干され、いつのまにかジャックダニエルも空、佐久間と三田村は焼酎を飲み比べしながらマイクを離さない。
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