「よかったわ、良太に会えて。どんなに変ったかって思ってたけど、全然まんまだし。変わらないものはないけど、大事な思いを共有したことは忘れたくないじゃない」
良太がまだ何か言おうとするのを遮って、かおりは言った。
「え……俺、俺は変わったよ。かなり。いろいろやばいこともしてきたし…」
良太は言いよどむ。
工藤に会わなければ、ほんと、どうなっていたことか。
「変わってないよぉ、やっぱ一直線って感じで」
かおりはドアを閉める前にまた振り返る。
「あ、私フリーだから、焼けボックイに火をつける気になったらいつでもOKよ」
かおりは、じゃあね、と手を振った。
パタン、とドアが閉まると、良太は気が抜けたように座布団の上に座りこんだ。
「大事な思いを共有したことは忘れたくない…、か」
かおりの残した言葉は良太の心にじんわりと響く。
今を生きることに精一杯で、気がついたらいつの間にかかおりは自分より遥か先にいる。
肇もしかりだ。
良太にとっては、高校時代のことなど思い出というよりつい昨日の出来事のようなものなのに。
良太が炬燵に足を突っ込むと、炬燵がけの上で丸くなっていたナータンがのっそりと膝にあがってくる。
「焼けボックイだって……? ちゃ~~~~!! 何でそんなこと工藤に言うんだよぉ。せっかく歩み寄ろうって時にぃ」
つい吐き出した良太が気になっているのはそっちの方だ。
「あのオヤジがそんなこと、気にするわけないか」
俺はさー、あんたの周りにいる女、みんなどっかへ行っちゃえくらいに思ってんだけどさ。
「くそぉ~~! もう一回寝てやる!」
一人ぐちぐちしていた良太はそのまま仰向けにバタンと大の字になった。
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