賑やかな夜宴はちょうど日が変わる頃にお開きになったが、折角きれいだからと、井上が朝までライトアップをそのままにしていったお蔭で、工藤の部屋からも桜を見おろすことができた。
風に舞い上げられた花びらはともすると七階のベランダまで飛んできている。
工藤は闇の中に浮かび上がる桜の木を見おろした。
ちゆきのことを思い出さないわけはないのだが、こうして何とか眺められるようになったのは花の呪縛からは既に解き放たれたからだろう。
おそらく、今なら軽井沢のあの花も見ることができる気がする。
ひとみの言う通り、後ろ向きでセンチメンタルな男だからな、俺は。
工藤は苦笑した。
その俺を前に向かせたのは、一見するとまだまだガキみたいなヤツだなんてな。
工藤はベッドであどけない寝顔を見せている良太を思い、嗤った。
「……工藤?」
窓から外の明かりが入ってきているのだろうかと、夜中に目を覚ました良太は窓辺に立つ男の影に気づいた。
肩を起こして顔を上げると、工藤が振り返った。
「何? どうかした?」
「いや……」
夜宴のあと、良太を自分の部屋へ連行した。
何だか憑かれたように良太を嬲ってしまった。
良太が意識を飛ばした後、工藤はシャワーを浴びて頭を冷やした。
つもりだったが、なかなか冷えてはくれないようだ。
「え、おい、工藤、まだやる気? 待って…ちょ……!」
「明日は日曜だろう」
「って、洗濯とか掃除とか、いろいろやることはあるんだよっ! ってどこ触ってんだ……わあっ!」
胸の辺りを工藤の指がまさぐり、突起を口に含まれると、良太は思わず声を上げた。
「何だよっ! ……うあっ! ……ひぇっ…! はっ……!!」
「色気のない声を出すな」
工藤の愛撫でこの部屋に連れ込まれてすぐに工藤に無暗に翻弄された良太の身体はすぐに火照り始めた。
良太の並べ立てる抗議とは裏腹に、容赦なく工藤に愛玩された腰は簡単にまた工藤の侵入を許した。
「あっ……くど……」
「こっちは欲しがってるぞ」
エロい囁きはすぐに良太を追い上げる。
「…あはっ……は……あっ……あんっ……!」
幾度も突き上げられる度に色めく良太の喘ぎは、工藤をもまた昂ぶらせる。
春の宵、乱舞する花の香に酔わされたのかもしれない。
夜の闇の中へ、艶めいた薄紅色の花びらがに風に吹かれて静かに流れていった。
-おわり-
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