「ひかりは関係ねーって! 一体どうしたら、信じてくれるんだよ? しろってんなら、土下座でもなんでもするさ」
「やめてください。いい男が台無しですよ。眠った方がいい。朝になったらくだらないことは忘れてるかもしれないし」
幸也の話をさらりと流して、ベッドにもぐりこもうとする勝浩の腕を幸也は再び掴む。
「ああ、そうかよ! 言葉で信じないんなら体でわからせてやるさ」
いきなり毛布をはいで襲いかかってくる幸也に驚いて、勝浩は抵抗する。
「バカなこと! あんた、何やってんのか、自分でわかってんの」
「わかってるさ。夕べだって、一緒にいたら襲っちまいそうだったから、リビングで寝たんだ」
「え……」
一瞬、勝浩が怯んだ隙に、幸也は勝浩を押さえ込み、勝浩のTシャツを捲し上げる。
「やめ…てください!」
「無理だな…もう。嫌われるんならとことん嫌われろ、だ」
抗う勝浩の頭を押さえつけて、幸也は無理やり唇をふさごうとする。
「………っ!」
嫌いになれるものなら、とっくだ。
勝浩は心の中で叫ぶ。
信じられるものなら、信じたいのに。
「勝浩…」
幸也はいつの間にか勝浩が泣いているのに気づいた。
どんな時でも涙なんか見せたことがない負けず嫌いの勝浩が、しゃくりあげて泣いている。
「……知らないくせに……」
「勝浩」
「ずっと…好きだったのは俺の方なのに……」
涙と一緒に溢れるように唇から滑り出た言葉。
「…ごめ…勝浩…」
「あんたが俺なんか眼中になかったことも知ってた。それでも一緒にいられるだけでよかったのに………」
パニクった頭で、思考を制御することもできずに、勝浩は言葉を紡ぐ。
そんな勝浩の涙は幸也の胸を恐ろしく締めつけ、怯ませた。
「ひどすぎるよ……」
「ごめん、いくら謝っても足りないかもしれないけど、お前が好きだから。ほんとに、好きだから」
幸也の言葉は勝浩が耳にしたことがないくらい優しさに満ちていた。
「まだ……半分は信じられない……」
やはりまだ、この男から手痛いしっぺ返しを食らうのではないかという怖れがどこかにある。
だけどうっかり口にしてしまった本音は取り戻せないし、もうどうにでもなれと、勝浩は泣き笑いの目で幸也を見あげた。
幸也の方はそんな勝浩の潤んだ瞳にさらにガツンと心臓に衝撃を受けた。
「信じてくれよ、お前だけだから」
幸也は勝浩の手をとって今度は優しく口づける。そして勝浩の項に手を回すと静かに引き寄せ、今度は今まで誰に対してもそこまで細心に接したことがないくらいゆっくりと口づけた。
勝浩にとってはキス一つでさえ生まれて初めてなのに、心ごと身体中の力が奪われていくような感覚に全神経がショートして、頭の中は真っ白になり、ようやく幸也が離れた時も放心したように幸也を見つめるばかりだった。
「ごめん、勝浩、俺もう限界…」
幸也は勝浩のTシャツやらスウェットやらをガシガシと脱がしていく。
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