Moon Light25

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 スタジオを飛び出した工藤は、鴻池に直接会いに行こうとしていた矢先、ちょうど千雪から連絡が入り、車を飛ばしてここに来てみると、京助と千雪は既に到着して工藤を待っていた。
「長田プロの社長、奥さんに愛人のことばらすぞ、言うて、ちょっと脅したったら、吐きましたよ。あの人、婿養子やから、弱いみたいですね。鴻池さんに頼まれたて。どないしはります? 裁判に持ち込みますか?」
 だが凄んでみせる京助にも軽く暴露してみせる千雪にも鴻池は動じない。
「良太はどこだ!?」
 中に踏み込もうとした工藤の前に鴻池は立ちはだかった。
「阿部とよろしくやっているところだ。邪魔をしないほうがいいぞ」
 カッときた工藤は腕を振り上げた。
 だが、動きもせず、目を閉じようともしない鴻池を殴ることはせず、そのまま腕を下ろす。
「殴らないのか?」
「そこを退け」
 工藤は静かに、しかし唸るように告げる。
「まだわからないのか? 君は、孤高の人であるべきなんだ。本来の君なら、そんなやすっぽいチンピラのゲイなんかに関わっているべき男ではないはずだ」
「俺のことは俺が決める。あんたに良太をこき下ろす権利はない」
 工藤は言った。
「俺には今良太より大事なものはない。良太に会えたことでいえば、良太に返済を迫っていた金融業者にさえ感謝したいくらいな」
 じっと対峙する二人は双方とも譲らない。
「君の口から、そんな俗っぽいセリフを聞くとは思わなかった。スポンサーとその坊やとどっちが大事だ?」
「言うまでもない。あんたは勝手にスポンサーを降りればいいだけの話だ」
 二人が静かに言い合っている隙に千雪が奥の部屋にするりと入ると、ちょうど良太が縛られている足で阿部をベッドから蹴落としたところだった。
 工藤は鴻池の横からドアを開け、中に飛び込んだ。
 床に尻もちをついていた阿部は工藤の顔を見ると、ひいいっと叫び共つかぬ声を上げて、そのまま後ずさる。
 良太は仁王立ちになった工藤が阿部の胸元を掴んで立ち上がらせたのを見て、口にハンカチを突っ込まれたままはっと息を呑む。
 工藤の拳が思い切り阿部を殴り倒した。
 それを横目に千雪は良太の口からハンカチを取り出し、足を拘束していた結束バンドを外す。
「早く手、ほどいて下さいよ! 俺も一発そいつにお見舞いしてやらなきゃ気が済まない!」
 途端、良太はパンツ一丁のまま大きな声で喚いた。
 千雪が良太の手を拘束している結束バンドを外すのに手間取っているうちに、半分のびていた阿部はそれでも慌てふためいて立ち上がり、逃げ出した。
「あのやろう、まちやがれっ!!」
「こら、動くと外れへんやろ!」
 そのまま阿部を追いかけていきそうな良太を千雪が叱り飛ばす。
「遅くなってすまなかった」
 唐突に工藤の口からこぼれた言葉に、良太ははっと息をのむ。
「俺こそ、申し訳ありません……」
 そんなことを言う工藤を良太は未だかつて知らなった。
 もとはといえば、良太の言葉を信じてやらなかった自分の責任だ。
 工藤はほぼ素っ裸で頭を下げる良太を見た。

 


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