「あいつ絶対ただもんじゃないと思ってた」
「ってか、匠、今の話でわかんの?」
良太は思わず聞き返した。
「や、だから、魔女と狼男とフランケンとドラキュラに良太狙われてるから、正義の味方の鉄拳マンの弟子がADに紛れ込んでるって話だろ?」
「まあ、正義の味方かどうかはわかんないけど、工藤の味方ではあるな……」
良太がぼそぼそと呟いてすぐ、千雪が声高に言った。
「今日は何も起きんかったけど、明日から二人ずつ良太のガード、いうこっちゃ。時間割り振って、担当外の時はフリーや」
「まずは相手やろ?」
辻が聞いた。
「せやから、相手は魔女と狼男とフランケンとドラキュラ、がメインらしい。せやな? 良太」
念を押す千雪に、「え、まあ、名前わからないんで、俺から見るとそんな感じ……かな?」と良太は苦笑いする。
「もちょい、具体的には?」
加藤が聞いた。
「うーん、なんていうか、もう、みたら避けます、みたいな?」
「はあ……なるほど」
今度は白石が頷いた。
すると千雪がタブレットを開き、画像をいくつかピックアップしてそれぞれの携帯に送った。
「こいつらやろ?」
良太は千雪から送られた画像を見るなり、コクコクと頷いた。
「そう、魔女オバサン! すんげ! 何でわかったんです?」
確かに魔女オバサン、中山多佳子だ。
やっぱり千雪は底知れない。
「ほんま、こわそ」
辻がニヤニヤと笑う。
「そう、こいつら魔女オバサンの周りにいた狼男ら!」
名前などは知らないが、顔はいかにもである。
「このババアがドンってわけか」
今まで黙って聞いていた京助がボソリと言った。
「やから、極力争いは避けて、万が一良太をどうとかって時だけ動く、いうんがベターやな。そん時は助っ人呼べや」
千雪が指令を下す。
「どうとかなんてごめんですって、俺」
情けなさそうに良太が主張する。
「まあ、撮影クルーの中には俺や森村もいるし」
檜山が言った。
誰も魔女が誰だかとかは聞かない。
それはありがたかった。
「けどなあ、撮影終わって東京戻ったら、工藤さん戻ってきはるん?」
千雪に聞かれて、途端に良太はうなだれた。
「いえ、まだ数日は………」
京都から無事に帰っても、まだ狙われる可能性があるということだ。
「鉄拳マンも動いてくれよるんやろ?」
「多分……」
「工藤さんの事件の時と同じで、やっぱあれか。ネットに出回った工藤さんの動画」
「ええ、まあ、そうらしいです。ってか、何で? 俺、こういうのほんと嫌で、いっそ魔女オバサンに直接聞きたいです」
良太が訴えると、「殴り込みはやめろ」とすかさず京助に却下された。
「わかってますけど………」
こちらから中山会に関係を持つようなマネは絶対厳禁なのだ。
「まあ、俺らに任せとけばええて」
千雪が軽く言った。
「ここは飲んでしばし忘れる!」
檜山がワインをとぽとぽと良太のグラスに注いだ。
「檜山さんも酒豪ですよね………俺ちょっとトイレ………」
良太はまださほど飲んではいないが、みんなの半端ない飲みっぷりに圧倒され、酔いが回りそうだ。
トイレから出てきて自分の席に戻った良太は、「あれ、俺の携帯……」とあたりを見回した。
「あ、これか? 良太の携帯?」
次にトイレに行って出てきた白石が、足元に落ちている携帯を拾い上げた。
back next top Novels
