逢いたい15(ラスト)

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 部屋を出る前に良太は工藤と今後のスケジュール確認をした。
 坂口のドラマが入ってくるとなると、尚更工藤の忙しさに拍車がかかりそうだ。
「この辺り、レッドデータアニマルのドキュメントとの調整が必要になりますよね」
「お前は今のドラマが終わったら少しは空くだろう、その都度で変わるからな、そのつもりでいろよ」
「はあ、わかりました」
 スケジュールを確認するとタブレットをバッグに仕舞い、東京への土産の袋をデスクに置き忘れそうになって、良太は慌てて持ってくる。
「あ、すみません、もう大丈夫です」
 てっきりドアを開けるのだろうと工藤の後ろに駆け寄った良太は、灯りの消えた中、唐突に唇を塞がれて、一瞬頭の中が真っ白になる。
 ようやく離してくれたものの、朝とは思えないキスと良太の首筋に触れた工藤の指のせいで、昨夜散々工藤に翻弄された身体が無条件に反応しそうになる。
 コノヤロー! 夕べっからやたらエロいし、何だよ、さっきのキスは! 俺で遊びやがって!
 顔を真っ赤にした良太は少しうつむきがちに工藤の後ろからエレベーターに乗り込んだが、思い切り工藤の背中をどつきたくなった。
 
  
 
 
 フロントで工藤がチェックアウトをしている間に、良太は工藤と自分の荷物を預け、二人が指定されたカフェに向かうと、既に宇都宮と坂口がテーブルについていて、宇都宮が手を振った。
 ランチをとる一時間ちょっとの間に、主に坂口と工藤との間でキャスティングやスタッフやら制作日程など、大まかなところをたったか決められていった。
 さっきはコーヒーだけと思ったものの、宇都宮や坂口が海鮮丼定食やハンバーグ定食などを注文しているのを見て、急に良太も食べたくなった。
「えっと、じゃ、俺も海鮮丼定食にします」
「朝飯食ったばっかで食わないんじゃなかったのか、良太」
「見てたら腹が減ってきたんです」
 向かいに座る工藤にからかわれて良太は言い返す。
「若いやつはいいなぁ、実に」
 からからと工藤の隣で坂口が笑った。
 ランチを済ませた四人はホテルのラウンジでコーヒーを飲みつつ少し休んだあと、宇都宮は公演中の劇場へ、工藤と良太は空港へと別れた。
 部屋へ戻ると言っていた坂口が乗り込もうとしたエレベーターをまた降りて、フロントで荷物を受け取っている工藤のところへ戻ってきた。
「言い忘れた」
「まだ何かありましたか?」
 そう尋ねた工藤に坂口はニヤリと笑う。
「最近とんと噂もないと思ったら、なるほどそういうことか」
「は?」
 坂口はロビーのソファにぽつんと座っている良太を思わせぶりに目で指示して、工藤の肩をポンとたたく。
「いいじゃないか、良太くん、色々がんばってもらうよ」
 背を向けて手を振った坂口に、工藤は思い切り眉を顰める。
 坂口ではなくどちらかというと宇都宮に意思表示したつもりだったのだが。
 まあ、いいか。
 坂口が知ったところで害はない。
「行くぞ、良太」
「はい」
 良太には、自分の後ろをついてこい、とは口にできない工藤だが、宇都宮には、俺のモノに手を出すな、と釘を刺しておきたいとつい思ってしまった。
 そんなおのれを嗤い、苦み走った顔をさらに険しくして、すれ違う人々をビビらせたオヤジ工藤だった。

 


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