「うう……頭、いってぇ…………」
起き上がろうとして良太は頭痛に襲われてまたベッドにダウンする。
カーテンの隙間から見える空はもう白白としているから、朝になったのだろう。
「無茶苦茶飲むからだ、バカ」
いきなり隣から声がして、良太はまた起き上がる。
「って……工藤……って、何であんた………」
隣で新聞を広げている男は、「ひとみにお前が潰れたから引き取りにこいって怒鳴りつけられたんだよ」と不遜に答える。
そういえば、ひとみとバーで飲んでて、トイレから戻ってきた時、異様な眠気に襲われて、良太にはその後の記憶がない。
「あんた………なんでっ………ずっと連絡もほとんどよこさなかったくせにっ!」
良太はついついつっかえていた悪態を吐き出した。
「何だ、そのくらいのことで泣いてたのか?」
「……バッカヤロウ……!」
声を上げると頭に響く。
「…って…」
誰かが良太の頭を太鼓のように叩いているかのようだ。
「バカ飲みするからだ。まだ寝てろ」
工藤の指が良太の頭を搔きまわす。
「……何だよっ………! 勝手にあんた……大体勝手なんだよっ………バカオヤジっ…………」
その手の温かさにいつの間にか深い安堵感が訪れていた。
たったそれだけのことで、なんだかんだと頭の中で逡巡していたモヤモヤが全て吹き飛び、憎まれ口もやがて小さくなり、良太は再び眠りに落ちた。
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