おそらく表面上は会社を守らねばとか強がって一人前の振りをして、歯を食いしばっていてもどうせ、一人の時には猫を抱いてメソメソしているだろう良太を抱きしめたかった。
やっぱり少し痩せてしまった身体の首筋や胸や背中をさすりながらしばらく煽ってやれば、良太は色づいた声をあげながら、工藤に縋り付くように熱くなる。
「はあ………ん……! くど……」
その中にゆっくり腰を進めて揺さぶると、良太は容易くはててしまう。
掠れた吐息がたまらず工藤をもひどく刺激する。
いや、俺もか。
もう良太に会えなくなったらと、その考えには胸がキリキリと痛んだ。
良太が今こうして腕にいることに安堵している。
工藤は自嘲した。
「……ほんとに、千雪さん……」
潤んだ目を開けた良太が言った。
「………警察に対してえらい剣幕だった…。出だしからもう警察よりずっと先を行ってた」
「また、事件の話か」
「あんたが冤罪ってことも許せなかったみたいで、それに千雪さん、あの時、いつだったか赤坂の料亭で俺らと千雪さん三人で逢った時、助けてくれた波多野さんのこと、あんたのボディガードだろって気づいてる」
良太は工藤の目をじっと見つめてつづけた。
「千雪さんも辻って千雪さんの同級生もあんたが冤罪になった理由が抗争にあるって、勘づいてたよ」
「フン、名探偵はお見通しか?」
工藤は茶化した。
「あんたが話したんじゃないんだ?」
「波多野のことを知っているのはお前だけだ」
フーン、と良太は斜交いに工藤をちょっと睨む。
「でさ、その千雪さんが容疑者にされた時、あんたがアリバイを証明したわけ?」
「だったかな。どうでもいいだろ、そんな昔の話」
いつまでもそこに引っかかっている良太の唇を塞ぐ。
「……っっ! ……って、今ごまかそうとしただろ?」
「留置場にいる間、暇過ぎて、早いとこお前にありつきたかったんだよ」
「うっそつけ!」
「ウソなもんか、お前もそうだろ?」
「……人を丸め込もうったって……!」
「お前の身体の方は、はいそうです、って言ってるぞ?」
「…ん……!」
にやつく工藤に言われなくても、身体中どこを触られても敏感になっている良太は、工藤の指が少し動いただけで、意図せずして喘がされる。
内にいる工藤が良太を昂らせ、良太の身体は勝手に熱を帯びる。
帰ってきたのだ。
工藤………!
工藤がいない世界なんて絶対いやだ。
どこにも行くなよ……!
いやだ……絶対離れたくない………
何でこんなオヤジなんだろうって、思うけど、しょうがないじゃん。
好きなんだから。
頑丈な腕が良太の身体を抱え、その指が良太の反応を操りながら這いまわる。
脳みそもどこもかしこも溶けそうに熱くて思考なんぞはどこぞへ飛んでいった。
「あ……んん……っ!」
濡れた吐息が唇から漏れるのを止められない。
「……良太…」
色めいた声が耳朶に触れた刹那、過ぎる程の愉悦に良太は身を震わせた。
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