Tea Time8

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 経済的にどれだけ恵まれていようが、大切な相手の心がそばになければ何の意味もない。
 自分のやりたいように生きてきたが、欲しいと思っても、どれだけ金を積んでも手に入らないものはあるのだ。
 それはここ数年で実感した。
 最近ほとんど一人で過ごしたことはなかった。
 仲間や家族や誰かしら傍にいた。
 一人の時間が増えたのは留学から戻ってからだ。
 何となく仲間を呼ぼうとも思えないでいた。
 現在一緒に暮らしているのは、留学中に引き取った捨て猫のエメと、東京に戻ってエメの検診に連れて行った先の動物病院で保護されていた仔猫のクルンだ。
 勝浩を部屋に連れてきたのはつい数日前、一緒に最近封切られたSFアクション映画を見た帰りのことだ。
「キャットフード? ほんとに? ぜひください、それ!」
「んじゃ、俺んち、寄ってこうぜ」
 エメやクルンのためにいろいろキャットフードを買い漁ったが、好きなものだけしか食べないので、どっさり余っているキャットフードを大学の動物愛護研究会が面倒を見ている猫に寄贈したいと勝浩に言ってみた。
「こっちのエメは目が緑だからエメラルドのエメ。クルンは尻尾がクルンと長いだろ?」
「うわ、かーわいい~」
 案の定、犬猫に目がない勝浩はチンチラのエメの長い毛を撫でたり、吹き抜けになっている階段を駆けあがったりしてはしゃぐ茶と白のクルンと遊んだりしてしばらく過ごしてから、キャットフードの袋をアウディの後ろに積んで、幸也の運転で勝浩の部屋に向かった。
「これなら猫たちも大いに運動になりますね」
 最後まで猫たちに夢中で、勝浩らしい言葉だと笑ったけれど。
 キャットフードを買い漁ったのも半分は勝浩を部屋に呼ぶための口実だったのに。
 映画を見たあと、食事をして部屋に送っていく。
 実に健全な交際である。
 何とも中学生のおつきあいでも今時こんな健全さはないだろう。
 部屋を出る時、抱きしめてちょっとキスしただけまだマシというものだ。
 好奇心旺盛な女なら、相手の部屋にくればキッチンはどこだの、そっちの部屋はどうなっているだの、ひとしきり部屋の探検をして、最後には寝室で仲良くするというものだ。
 そう、ひかりが一度冷やかしにきて、散々品定めしていった。
 もっともひかりはそういう相手ではないから、一から十まで冷やかしで、幸也のようすから勝浩とうまくいってないのかしらなんて笑い、「グッドラック~」などと言い残して出て行ったのだが。
 まったく、ムカつく女だ!
「せめてちょっとでもここに住んでる人間にも興味持ってくれたらね~勝っちゃん」
 ボソリ、と呟いて、幸也は何ともふがいない自分にため息をつくのだった。

 


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