「知らなかったの? ほら、二人のおじいちゃま、元政治家の」
ひかりが言った。
「ああ、長谷川元外相?」
「幸也のパパとタケのパパが、その息子だから。タケのパパは婿養子に入ったから、検見崎だけど」
「え、そうなんだ………じゃあ、似てても当然ですね」
ごく普通に答えたつもりだったが、勝浩はかなり動揺していた。
だってそんなこと、二人とも何も……。
じゃあ、俺のこと、検見崎さん、初めから知ってた、とか? まさか、ね。
でも、何で、俺に近づいてきた?
検見崎さんがこの会に入ったのって、俺が入ってすぐあとだった。
ダブってまた一年生なんだとかって言って。
だから、どうしたっていうんだ?
俺のことなんか知ってたって、あの人にとって何の得にもならないじゃないか。
考えすぎだ。そんなこと。
そうは思うのだが、何やら嫌な感じが抜けてくれない。
「お前、顔色悪いぞ、勝浩」
はっと気づくと、目の前に幸也がいた。
「結構陽射し強かったからな。お前、何でもムキになってやりすぎるんだよ。休んだ方がいいぞ」
「え、ええ、いえ、ちょっと遊びすぎて疲れただけで、平気です。行ってらっしゃい」
そんな風に気にかけてくれるのは嬉しいけれど、逆に心が苦しくなる。
幸也の心配そうな目から顔をそらし、勝浩がふらふらと自分の部屋へと階段を上がり始めると、足元に寝そべっていたユウも起き上がり、とことことあとに続く。
本でも読もっと。
せっかく楽しい気分でいたのに、余計なことは考えないようにしよう。
外界から何もかもシャットアウトしてしまいたい、そんな気分だった。
夕方、勝浩がユウを連れて散歩から帰ると、既に垪和たちの手で焼き肉が美味そうに焼けつつあった。
夜は屋内で焼き肉パーティの予定だったが、女性陣がすっかり準備をしてくれたようだ。
「勝浩くん、早くおいでよ、なくなっちゃうよ」
美利に呼ばれて、勝浩はその隣に座った。
みんな、よく食べてよく飲んだ。
美利は飲み物を取ってきたり、皿を取り替えたりと何かと勝浩の世話をやいた。
「ごめん、いいよ、俺、自分でやるから」
「だって、なんか元気ないし、勝浩くん」
そんなに意気消沈ぶりが伝わってしまうのだろうかと、勝浩は気を取り直した。
「ちょっと今日、はしゃぎすぎてさ、運動不足がたたって疲れたんだよ。猫たち、みんないる?」
「うん、チャー子ってば、お風呂場好きなんだよね、なぜか。トラ吉とクロが喧嘩するから、クロは私の部屋にいるの」
「トラ吉、血の気多いよなー」
しばらく猫たちの話題で勝浩は美利と一緒に笑った。
犬たちは、宴会の前にみんな部屋に避難させている。
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