「は? 何、それ」
寝ていた時に工藤から電話が入ったらしいことは、通話履歴に残っていて、気づかなかった自分にがっくりしたのだが。
「え、じゃ、あの時………」
良太はようやく思い当たった。
「宇都宮なんかの前で、ガキっぽいツラで寝たりするな」
「べ、つに、宇都宮さんの前ってか、坂口さんの部屋で飲んだらつい……って、まあ、俺が寝ちまうとか反省はしてますけど……、何すか、ガキっぽいツラって」
良太はブツブツと抗議する。
「ガキだろうが。カミーユクローデルも知らないし」
宇都宮が嫌がらせのように良太の携帯に出たのを思い出して、工藤もそれこそガキのような難癖をつける。
「うっさいな、芸術をもっとかじればいいんでしょ。あ、それと、宇都宮さんにまた鍋やろうって誘われてますから」
「何だソレは?」
動かしていたフォークを留めて、工藤は良太を睨む。
「宇都宮さんが炬燵を買ったから、皆で鍋しようって、言っときますけど、ひとみさんや須永さん、竹野さんらも一緒ですから」
宇都宮が気に入らないらしい工藤には、一応、言っておかないとまた何か文句を言われそうだと良太は先回りして告げる。
「そんなに鍋がしたいのか?」
「いやだから、鍋がしたいってか………」
人々の想いも街の喧騒も我関せずで、ゆっくりと東京の秋は深まっていく。
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