ところまでは覚えているが、うつらうつらしてそのまま眠ってしまった。
「良太」
聞いたことのある声が耳元で名前を呼んでいる。
「ったくしょうがないな」
声の主は良太の握っていたリモコンを取り上げ、テレビを消した。
しばらくすると、何かが胸の突起のあたりを這いまわっている。
唇がふさがれ、次第にいやらしさを増していくにつれ、息が苦しくなった良太はようやく目を開けた。
「え……工藤……」
言葉を発する前にまたキスが襲う。
「……ん……あっ……!」
帰ってきてたんだとか、撮影はどうだったんだとか、そんなこともどこかへ吹き飛んで、工藤のエロい手管に翻弄されているうちに、いつの間にか工藤の手に握られた良太はあっけなくはじけた。
心も身体も工藤をひどく欲しがっていて、後ろにごつい指が届いてぬるりとした冷たさを感じたものの、良太は頭の先からつま先までやけにエロくて蕩けそうな状態で、自分でコントロールもできない。
膝を折られ、工藤が押し入ってきても、動くたびに甘い刺激が脳髄まで駆け上がる。
モノも言わず、いつになく荒ぶって突き上げる工藤に、良太は言葉にならない喘ぎ声を上げ続けた。
過ぎた快感が幾度も良太を襲い、やがて意識が飛んだ。
明け方、何となく目が覚めた良太は、工藤の胸に思い切りしがみついている状況に気づいた。
もうちょっと、このままでいたいな。
少し顔を上向けたものの、慣れ切った工藤の匂いに包まれていたい、と良太はまた目を閉じた。
ニューヨークでの撮影が終わり、一足先に戻ってきたらしい工藤は、良太が再び目を覚ました時には既に出かけていた。
十一月になればまた志村や小杉とCMの仕事で工藤がドイツに行っている間は、また京都での撮影には良太が出向くことになっている。
水波関連のドラマの撮り直しはまだスケジュールが決まらず、打ち合わせに良太も呼ばれている。
藤堂とニューヨークに行っている佐々木が戻ったら、こちらも水波の撮り直しCMの打ち合わせをしなくてはならない。
追撮でアフリカに行っているレッドデータの一行が戻ってきたらまたスタジオに詰めることになるだろう。
そんなことを考えながら、良太は溜まっていた書類作成にいそしんでいた。
午後から二件ほどスポンサーのところに顔を出して夕方戻ってくると、工藤が珍しく奥のデスクで電話をかけていた。
「昨日、英報堂に行ってきたんですけど」
工藤の電話が終わるのを待って、良太は言った。
「ああ、乾さんから連絡がきた。打ち合わせは今後お前が行くと言ってある」
「は? 俺でいいんですか?」
もとい、これも俺に丸投げかよ!
「佐原がお前に直接アポを取ると言っていた」
そう言うと工藤はまた電話を取った。
まあ、いいけど。
工藤の仕事を少しでも減らせればということを考えると、良太は反論もできなかった。
丸投げはクソって思うけどさ。
鈴木さんは、工藤と良太にコーヒーを入れてから、「お先に失礼します」と帰って行った。
しばらく良太のキーボードを叩く音と、工藤の電話の声だけがオフィスに響いていた。
やがて電話を置いた工藤が立ち上がって、「今日はフレンチだ」という。
「え?」
良太は振り返った。
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