「…ベッカーが本当に関係ないんなら、奴に応援を頼むか…」
ところがそんな悠長なことはできなかった。
ヒューがカーテンの隙間から外を見て、「やつらだ!!」と小声で叫んだ。
アレクセイも窓から外を覗いてみる。
黒いコート、黒い帽子、全身黒ずくめの大きな影が五人うろついていた。
まさしく黒い影のごとく。
そして影はやがて三人のいる部屋のあるビルに乗り込んできたらしい。
アレクセイは腰の後ろに押し込んでいた銃を抜き、ドアに向けて両手で構えた。
五つの影はビルに入り、一つ一つドアを開けて部屋を確かめているようだった。
三人は息を殺してその様子に耳を澄ませる。
その部屋をノックする音が聞こえた。
始めは軽く、次には激しく。
住人の女性はチェーンをそのままに、ドアを開けた。
一言二言のやりとりの後だ。
激しくドアが開けられる音がして、ドカドカと数人の足音が入りこんできたのが聞こえた。
そして間もなく、寝室のドアが開いた。
しかしそこに立った男はアレクセイにマグナムを突き付けられ、後退りした。
「帰れ。俺は軍人は嫌いなんだ」
バンとドアが閉められたと思うや、ブスッブスッと不気味な音とともに、ドアに向けて数発の銃弾が撃ち込まれた。
アレクセイは咄嗟に身を踊らせて、その銃弾を避け、代わりにマグナムを連射した。
その銃弾の音を聞きつけて、俄に辺りが騒がしくなる。
間髪入れず、窓ガラスがすごい音をたてて割れた。
アレクセイは窓の側にいたヒューに覆い被さった。
ガラスの破片をまともに受けて、アレクセイは頭や腕に怪我をした。
顔に流れる血を、アレクセイはシャツで拭いながら、窓から外の様子を見やり、「あっちとこっちと二人はいるな……」と呟きながら、ヒューの腕を引いて窓の側から離す。
「何で……俺の銃も持ってこなかったんだ…てめー」
ロジァは喚いた。
「悪い…まさかこんなことになるとは…」
アレクセイは眉間を寄せながら、ヒューを促す。
「ここは危険だ…出るぞ」
「わかった」
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