ヒューは木偶の坊になった側の脚のブーツに指を突っ込んだ。
激痛に歯を食いしばりながら取り出したのはコルト・ポケットだった。
「面白いものを持ってるな、お前…」
「敵ならとっくにあんたを殺してる」
ヒューはアレクセイを睨み付ける。
フンとほくそ笑み、アレクセイは身を屈めてドアを開け、銃を構えた。
「迷惑かけてすまないな…もうしばらく、隠れていてくれ」
震えながらソファの影に縮こまっている住人に、アレクセイは声をかけておく。
三人は身を屈めたまま、ドア口に近付き、開け放たれたドアから外の様子を見た。
「廊下の後と前、両方の角にいる」
すぐアレクセイは顔を引っ込める。
「いいか、俺は窓から派手に飛び出して奴らを引き付ける。その間に、お前らは逃げろ。南側二つ目の路地の右方向角に俺の車がある。そこからボックスに連絡しろ」
「バカ言え!! てめー、殺られちまってもいいのかよ!!」
ロジァは思わず喚いた。
アレクセイは笑みを浮かべる。
「殺られたかないさ…頼むぞ、ヒュー!!」
「冗談じゃねー!!」
尚も頑張るロジァに、アレクセイはいきなりキスした。
「ここでくたばっても、俺が愛してるって、これで少しは認めてくれ…」
そう言うか言わないに、アレクセイは寝室に走り、窓からまさしく派手に外に飛びだした。
たちまち銃弾が彼を襲う。
同時に、廊下に這い出したヒューは影が消えているのを見て取り、ロジァの腕を掴んで走った。
「アレクセイを放って行けるかヨ!! 俺は奴の上官なんだぜ!!」
ロジァは抗うが、ヒューはおかまいなしにロジァの腕を掴んだまま、片足を引き摺りながら走る。
ネオンの輝きから外れた街灯だけの薄暗い路地。
この辺りは中流の下といったところの住宅地だ。
アレクセイは幸いにも、銃弾を何とか避けながら、ダストボックスの後に身を隠し、一人を狙い撃ちした。
その影が倒れると、今度は別の方向から銃弾が飛んでくる。
地面に這いつくばって、二つ目の影を狙う。
人間の倒れる音がした。
back next top Novels
