ビルから飛び出してきた三人目の影を狙おうとした時、彼でない何者かの銃が、その影を倒した。
はっとしてアレクセイが顔を上げると、間もなく、幾人もの軍人が走り寄る足音が聞こえた。
彼らは残りの影を取り囲んだ。
「包囲しました。出て来て下さい」
アレクセイにも聞き覚えのある冷ややかな、低い声がした。
しかし影は出ては来なかった。
その代わりに、二つの骸が転がった。
「遺体の処理を頼む」
また同じ声が聞こえた。
アレクセイはダストボックスの後から、頭を持ち上げた。
「証拠湮滅か? ベッカー少尉」
ベッカーはアレクセイを見た。
「どうして君がここに?」
「部下に聞けば分かるんじゃないか? あんたたちが来るのが遅かったお陰で、あちこち怪我だらけだ」
アレクセイは銃を尻の上からジーンズに戻す。
「ロジァは?」
「ヒューが連れて逃げた」
やがてドドド……という音とともに、何十台というバイクが大挙してそこに押し寄せた。
そしてたちまち軍人たちを取り囲んでしまった。
「アレクセイ!! 大丈夫か? ロジァは?」
ポールが訊ねた。
「無事だ。ヒューも」
「こいつらの仕業か? 俺らが始末してやる!!」
今にもバイクごと飛び掛かりそうな勢いで、もう一度ポールが怒鳴った。
「残念ながら、違う」
アレクセイがきっぱりと制した。
「本当か?」
「ああ…」
そこへアレクセイの車が、乗り込んできた。
バイクが道を開けた。
車が停まって、中からロジァが降りた。
「アレクセイ!!」
ロジァが叫んだ。
「ロジァ、カタはついたらしぜ」
そう言って、アレクセイは笑った。
「…あんた、無事…?」
ロジァはアレクセイを見つめ、やっとそれだけ口にする。
「…ああ。全然平気だ」
アレクセイはまた笑った。
ロジァはポールに解散していいといった。
でないと軍人たちは動けなかった。
ようやく、バイクの大群はまた地響きのような音とともに引き返していった。
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