そばにいたい10

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 甲本だけではない、東山や啓太も可愛い女の子に割り込まれてテンションが上がっている。
「あと二人も同じ大学? 可愛い子?」
 東山がウキウキと主に白石にたずねる。
「残念~! 男子なんだ」
「ええ? そんなの無視してここにいなよ。何飲む? これ、美味いぜ、揚げたこ焼き」
 いそいそと東山は揚げタコ焼きの皿を白石の前に置く。
「ありがとう。えっと、あたし、ウーロンハイにしよっと」
「私、生一つとトマトとナスのチーズ焼きと、それからガーリックポテトとチョリソ。あ、その揚げタコ焼き、とりあえず」
 注文を取りにきたスタッフに、可愛らしげに告げる白石の横で、内田はテキパキと選んでいく。
「相変わらず内田、お前、恥じらいってもんがないよな。男どもの前で」
「何で今更甲本の前でぶりっ子しなくちゃいけないのよ」
「誰の前でもぶりっ子したことなんかねぇだろ」
「うるさいわね」
 この二人は一時付き合っているという噂が立ったくらいで、ああ言えばこう言う的な掛け合いは時間を感じさせない。
 内田とそんなやり取りをしていた甲本だが、佑人の取り皿に目の前にあった揚げタコ焼きを置いて皿を空にし、分葱とイカのぬたを使った手つかずの佑人のお通しを力がさりげなく取り上げて食べ、器を皿に重ねるのを何となく目が追っていた。
「そうそう、びっくりしちゃった、成瀬くんだったんだ、渡辺美月の息子って。卒業式に渡辺美月がいるって騒いでたけど、誰の親なのかって」
 唐突にふられて、佑人の手が止まる。
「最近、ほら、女優の息子が覚せい剤で捕まったじゃない? 週刊誌見てたら、渡辺美月の息子も昔警察沙汰とかって記事があって」


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