「確かに詐欺な気がするよな? 俺もちょっと意地になってマニュアルでやったけど、最初エンストばっかで、なのに、力とか東とか何の抵抗もなくするするって」
一人笑わなかった佑人が啓太に同調する。
「免許取りに行って、ベテランって、何ソレ」
まだニヤニヤ笑いながら、坂本が「まあまあ、負けず嫌いの佑人らしいよな。でもこいつらにコツとか教わって、一発合格だったんだしょ?」
「お蔭様で。けど、同じ初心者がコツって、バイク乗ってたっての差し引いても納得はできないよな」
「まあ、そう、深く考えなくても、な?」
「ちぇ、合宿面白そうじゃん、教えてくれてたら俺も参加したのによ。俺は一発試験で取っちまったからな。坂本もそうだろ?」
「一発試験ってナニ?」
啓太が不思議そうな顔で聞いた。
「まあ教習所とか行かねーで、試験だけ受けるっつうやつ?」
「そんなことできるのかよ?」
「だぁから、俺らバイク乗ってたし」
高三の夏休みに免許を取るなどという無謀をやらかしたと思っていたが、どうやら坂本にとってもそうたいしたことではなかったらしい。
佑人としても深く追求するつもりはないが。
どのみち、暖簾に腕押し、表だか裏だか影だか知らないが、加えて東山も、学校の成績などよりいろんな意味で自分や啓太よりはうまく世の中渡っている気がする。
何はともあれ合宿免許も楽しかったし、GWも奥多摩へこのメンツで釣りに出かけ、代わる代わる運転したりして、この仲間でいること自体が楽しい。
おそらく何のかの言いながら飲み会に顔を出す甲本も、そうに違いないと佑人は思う。
十一時過ぎに店を出ると、駅で東山と啓太、力と佑人、それに坂本と甲本の四人はそれぞれのホームに別れて電車を待った。
「タローのやつ、最初は車、ダメかと思ったけど、何回か乗せてたらちょっとずつ慣れてきた」
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