「それでさ、俺ともやろうぜ」
「何を?」
「オールイングリッシュ」
そういえば坂本はそれにひどくこだわっていた。
「どこで?」
「ここで」
「ここ? 変に思われるぜ? 目立つし」
「ああ、気にしない気にしない」
そう言うと店内にもかかわらず坂本は英語でしゃべり始めた。
坂本の英語は流暢とはいい難いが、しっかりした英語で十分会話は成り立つものだった。
発音や言い回しを時々確認しながら、しばらく二人は英語で会話をしていた。
「うっわー、何二人で、ガイジンやってんの?」
唐突に飛び込んできた奇声に、二人の英会話は中断された。
「お前らさ、何で南沢なんかにいるんだよ、レベル違いすぎるだろ」
隣のテーブルに陣取ったのは啓太と東山、それに後ろからのっそり現れた力だった。
「てめぇら、邪魔すんなよ、何しに来たんだよ」
不満げに坂本は三人を見回した。
「てめぇこそ、何やってんだ?」
どっかと椅子に腰を下ろした力がじろりと坂本を睨む。
「見りゃわかるだろ、デートだよ、デート」
「わかるかよ!」
「フン、とっとと若宮とより戻せよ。人の邪魔してないで」
坂本の台詞が佑人の心を揺らす。
「こいつさ、若宮がでけぇ犬が嫌だっつったからって、別れたんだと。バッカじゃね?」
坂本はククククっと力を笑う。
「ったりまえだろーが。別れるも何も第一つき合う以前だ」
力の方は全く冗談ではないといった顔だ。
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