穏やかそうな面を人には見せているくせに、自分の心の奥底に燻り続けていた情がこんなに強いものだったのだと、今更ながらに思い知る。
豪も優花も、もう傷つけたくない。
初めて豪を連れてきた頃、豪のことを一生懸命とりなそうとしていた優花のことが思い出される。
あんなけな気さを思うと、どうしたって俺の出る幕なんかない。
そう思う傍からこのていたらく、我ながら呆れるぜ。
このまま俺は夜叉になり、お前を喰らい尽くしてしまいそうだ。
写真集をそこに置いたまま、元気は店を出た。
ようやく雪の止んだ空からオリオン座がくっきり見降ろしている。
「月…明るいな…」
さえざえとして寒月が樹々の雪に影を落としている。
ぐずぐずしていても始まらないだろう。
ひとりでも……
――――進まなければ。
――――前に。
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