夏を抱きしめて3

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 年頃の娘が口にするにはあんまりな台詞に、そろそろアラサーという元気は気後れすら覚える。
 はっきりした顔立ちの通り、紀子は物事をはっきり口にするタイプだ。
「あの女、こないだ封切られた映画でも評判いいし、からだだけじゃない売りもあんのよ」
 眉を顰めて強くのたまう。いくらか腹立たしげに。
「まあ、あれだけゴックンバディなのにキュートな笑顔でみつめられたら、男なんてイチコロだな~」
 ニヤニヤと元気はテレビの画像を思い浮かべる。
 ダン!
「…な…に? 紀ちゃん…」
 カウンターを叩いた紀子の剣幕に、元気はからだを引く。
「デレデレしてる場合?! こないだ発売された井上美奈子の写真集、撮影したのは豪なんだよ!?」
「あ、あ、らしいね」
「らしい?! あのね、そのゴックンバディが豪に超接近してんのよ? ちょっとはやきもきしようとか、思わないわけ?」
「そりゃ、カメラマンだから、接近もするわな」
 グラスを拭きながら、元気は呑気そうに笑う。
「夜の代官山で接近してんのよっ! 元気もたまにはワイドショーくらい観たら?」
 実は朝、テレビの前に陣取っている母親とそのワイドショーを見ていて、元気は少々出遅れたのだ。
「あれ、あんたの友達のカメラマンの豪さんやない?」
 母親の声にコーヒーを飲んでいた元気がテレビ画面に目を向けると、確かに豪とかの巨乳女優井上美奈子の顔が画面一杯に映し出されていた。
「こんな別嬪な彼女がいたのね。イケメンやと思っとったけど、へええ」


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