夏を抱きしめて30

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 大学の仲間が中心になって一騒ぎ終えた頃、二次会はお開きとなった。
 新郎新婦がホテルへ戻ったあと、江川や毛利と久しぶりに飲むかという話になり、飲んだくれたいくらいの心境だった元気は「どこ行く?」と率先して歩き始める。
「『アクア』にするか?」
「西麻布の? そうしよう」
 毛利の提案に江川が頷く。
「もちろん、毛利のおごりだな?」
「任せろよ、元気。たまの東京だもんな」
「『アクア』なら、お前んちにこの引き出物置いてからにしないか?」
 江川の提案で、三人とも自分たちが大きな引き出物の紙袋をさげたままなのを思い出す。
 タクシーを停めようとした毛利に、「悪い、ちょっと俺電話しないと」と元気は辺りを見回すが最近電話ボックスなど減るばかりで、近くにありそうにない。
「携帯は?」
「兄貴んちに忘れてきたんだ」
 本当はわざと置いてきたのだ。持っていたら持っていたで気が散って披露宴どころじゃなかったからだ。
「何だ、俺の使えよ。聞かれてまずい電話でもないんなら、車に乗ってからにしろよ」
「まずいもんか。じゃ、貸してくれ。兄貴に一応電話入れとかないと」
「お前って、未だにブラコンな」
 携帯を渡しながら毛利が言う。
「悪いか」

 


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