夏を抱きしめて31

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 程なく停まったタクシーのトランクに引き出物を入れ、三人はタクシーに乗り込んだ。
「あ、兄貴? 俺。毛利たちともう一軒飲みに行くからもちょっと遅くなるんだけど」
「おい、どうせならうちに泊まれよ。お兄さんたちに起きて待っててもらうの、申し訳ないだろ。用賀なんて、タクシー代もバカにならないぜ」
 携帯で話している元気の腕を引っぱって、隣の毛利が口を挟む。
「え、いいのか? じゃ、そうさしてもらう……あ、あのさ、毛利が泊めてくれるって言うから。うん、遅くにごめん。え? 電話って誰から?」
 ドキリ、と心臓がはねる。もしや豪からか、と思った元気だが、兄からは意外な名前を聞いた。
「古田? うん、じゃ、番号教えて」
 間をおかず、毛利が手帖とペンを差し出す。
「……わかった、電話してみる。うん、お休み」
 携帯を切ると、何だろう、と思う。
 古田といえばみっちゃんしか考えられない。
 みっちゃんが、わざわざ兄貴のうちまで電話くれて、一体何の用だろう。
 やはり、その幻のギタリスト云々のことだろうか。
 って、どうして俺が兄貴のとこにいるってわかったんだ? わざわざうちに電話したんだろうか。
 とにかく気になって、今度は携帯でみっちゃんの番号にかける。
「あ、みっちゃん、電話くれたって?」
「よう、こっち来てるんだって? 今、どこだ?」
「はあ、今、披露宴の二次会終わって、将清や優作と飲みに行くとこで…」

 


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