西高東低12

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 十二月のイブの夜、初めて抱き合った時、佑人はそれこそ夢心地で力に任せてしまったし、力はいつも口では割と乱暴なことを言っているが、佑人に対してどれほどの優しさをもって接してくれているか、もう十二分にわかっている。
 けれども今の力は何か切羽詰まったというようすで、ようやく唇が少し離れたと思ったものの息をしたかと思うとすぐにまた唇を重ね、時折息を吐ぎながら舌を絡め、深く口づけられて、佑人は知らず後退るが、さらに力はぐいぐい壁に押し付けてくる。
 ふと覗き込んだ力の目は野性味に色を帯びて、ドクドクという心臓の音が佑人の中を駆け巡ると、細胞からして溶けていくように身体中が緩くなる。
 佑人の項に片方の手を回し、ひたすら佑人の口腔をまさぐっていた力だが、やがて佑人の首筋から鎖骨の辺りに熱い舌を這わせ始めたかと思うと、すっと離れ、次には佑人を抱きしめ、佑人の肩に額を押し付ける。
「……力?」
「わりぃ……」
 ボソリと言う力の佑人を抱きしめる腕がきつくなる。
「がっついちまって……お前、これからなのに……こうなりそうで、会わねぇようにしねぇと……」
「え………」
 自分のせいで佑人の受験に支障をきたしたらと、そんなことを考えて力が自分と会わないと言ったのかと、佑人はひどく力が愛しくなった。
「それ……違うから」
 佑人は力の背中に腕を回してぎゅっと抱きしめる。
「卒業したらもう一緒にいられなくなるのに……」
「佑人……」
 力は顔を上げて佑人の目を覗き込む。
「そんなこと気にしなくていい……。俺、落ちようがどうしようが、浪人とかでも平気だし。それに、落ちないよ、きっと……。坂本じゃないけどさ」
「言ってくれるじゃねぇか」
「だから、やめなくてい…」
 佑人の言うのを最後まで聞かずに力はその腕を掴んだままベッドへと突進して佑人を押し倒すと、手早く上半身裸になった。
「…ち…から…自分で……」
 自分で脱ぐからと言おうとする佑人には耳もかさず、幾度もキスを繰り返しながら力は器用にコートを脱がし、学ランを脱がし、佑人から着ているものをみんな取り去ってベッドから落とした。
 佑人の首筋からまた唇をそれから胸の辺りへとせわしなく力は舌を這わせ愛撫を施していく。
 その間にも力の指が佑人の下肢へとのびて既に熱を持ち始めているものを握りこむと、佑人は息を呑む。
 やめるなとは言ったものの、どうしても羞恥と怖れが佑人を身じろぎさせる。
 けれど見おろしている力の目が自分だけを見つめているのだと思うと佑人の身体の芯が急激に昂揚する。
「……あ……ごめ……も…」
 唇を蹂躙しながら粗野な手つきで与えられる刺激に佑人はあっけなく力の指を濡らした。
 脱力した佑人が目を閉じているうちに力は足元に絡まっていたズボンを蹴り落とすと、佑人の後ろに手を回りこませた。
 冷たいローションと一緒に中へと力の指が入りこんだ時には、自分ではない生身の身体と交わっているのが恐ろしくリアルだった。
「……わり、もう俺限界……」
 情に濡れた力の声は少し掠れていて、耳元に届いた途端、佑人の身体はまた緩んで熱を帯びた。
 力はそれを感じ取ると、次にはその身体を貫いた。
「……あっ…っ!」
 熱い塊の圧迫感と力が揺さぶるたびに襲ってくる鈍い痛みをひたすら佑人はやり過ごす。
「佑人……佑人……ゆう……」
 やがて自分の中で力が弾けたのを感じたが、どさっと力の身体が荒い息とともに佑人の上に倒れこむと、こうして繋がって一つになっていることが佑人は何だか切なくて痛みを凌駕した。

 


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