Stand by3

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 羽田に着いたのが十時過ぎ、良太が部屋にたどり着いた時はもう十一時を回っていた。
 夕べは鈴木さんが世話をしてくれたはずだが、それこそナータンがきっと首を長くして待っているだろう。
 なるべく無愛想なオヤジはどこかにおいといて、可愛い愛猫の顔を思い浮かべながら自分の部屋へと戻ってきた良太は、鈴木さんへの土産などが入った荷物を降ろしてドアにキーを差し込んだ。
 と、ギイと隣のドアが開いて、「メシは食ったのか?」と声がかかる。
「お疲れ様です。工藤さん、早かったんですね。向こうを発つとき、ヤギさんたちと食べてきました」
 いきなりの工藤の登場に、ちょっと面食らいながら良太はドアを開けようとした。
「そうか。まあちょっとつき合えよ」
 ぐいと腕をとられて、良太はあれよという間に隣の部屋に連れ込まれる。
「ちょっと、工藤さん、荷物まだ入れてないんだって…………」
 有無を言わせないというのはこういうことだと工藤が態度で示してくださる。
 これが横暴というやり方も十分に教わった。
 モコモコのダウンジャケットの良太を抱き込んだまま、工藤はドアの間近の壁に押しつけて少し乾いた良太の唇を塞ぎ、息を継ぐ間も与えずに舌を押し入れて口腔を蹂躙する。
 工藤からかすかによく知っているアルコールの匂いを嗅ぐと、それが工藤との記憶に結びついて良太の神経を昂ぶらせていく。
 やがて工藤は良太の唇から離れ、今度はセーターからのぞく首筋のあたりを軽く吸い上げる。
 はあっと、我慢できずに漏れる吐息は既に熱い。
「……なん……だよっ……! 俺……ナータンが……待ってる……し……」
 良太が口にする言葉など意に介さず、いつの間にかジーンズのジッパーの中に入り込んだ工藤の指は良太を軽く追い上げる。
 へなへなと力を失った良太を、工藤は腕に抱えたままリビングを突っ切ってベッドに連れてくると、ジャケットを脱がし、ばふんとベッドに倒した。
「……あんた、俺のこと、掌で操れるサルだと思ってんだろっ!」
 かろうじて身体を起こして、工藤は睨みつける良太をフンと鼻で笑う。
 ヘッドボードに追い込んだ良太からジーンズを剥ぎ取って、工藤は力なく抵抗する良太を余裕で料理し始めた。
 
  
 
 
 良太の部屋とはバスルームなど水回りの造りはほぼ同じだが、工藤の部屋はその倍以上はあるワンルームで、リビングからくの字に広がるスペースを観葉植物などで区切り、寝室として使っている。
「俺は明日から沖縄だ」
 グラスのラム酒に口をつけながらベッドでぐったり動かない良太の傍らからシーツに足を入れると、工藤はグラスをサイドテーブルに置いた。
「戻ってきてすぐロスに飛ぶ」
 工藤の腕が伸びて良太の頭をかき撫でる。
「……勝手に行けよ………」
 喚きすぎて声が少し掠れている。
「向こう一週間以上、帰れないんだぞ」
 確かにずっと会えないかも知れない。
 良太のスケジュールもここのところ手一杯で、送り迎えもできないのだ。
「……知るか……」
「口の減らないやつだな」
 工藤はサイドテーブルの上の酒を一口含むと、良太の上に覆いかぶさり、頤を掴んで唇を寄せた。
 酒はいつになく甘い気がして、良太は工藤の首に腕を回す。

 


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