バレンタインバトル10

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「俺たち妙な出会いやってん。お互い振られたもの同士酔うて意気投合したみたいな」
 佐々木が言った。
「え?」
「ただ、あいつが振られたて、どんな相手やったんやろとは思うとったけどな。そしたらこないだ良太ちゃんには好きな相手がおって、横恋慕やった言うてたけど」
 それを聞くと、良太の中で引っかかっていたものがストンと取れたような気がした。
「あいつと俺、ガキの頃から顔を合わせるたびに喧嘩みたいな感じだったけど、俺は直球バカであいつは思い込んだら一直線みたいな、どこかしら共鳴するようなところがあって、お互い大人になっていろいろあったけど、そんなとこは変わってないなって」
「野球チーム作るんやて? 良太ちゃんと仲間と一緒に」
「ええ、そんなことも言ってますけど」
 良太は真っ直ぐ佐々木を見つめた。
「あいつ、佐々木さんに一生懸命なんです。のぼせて周りが見えなくなっているんじゃないかとか、心配されるかもしれないけど、あいつの場合、見る必要のないものは見ないんです、昔から」
 佐々木もじっと良太を聞いていた。
「今朝、直ちゃんがオフィス寄ってくれた時、沢村から佐々木さん宛てに花が届いたけど何で実名で贈るんだって、佐々木さんが怒ってたって」
「あ、ああ、やっぱり、どこで誰が見るかもしれないやろ?」
「多分、あいつにはそんなことどうでもいいんですよ。ただ、佐々木さんのことを考えたら、気をつけた方がいいとは思いますけど」
「いや、俺は、まあ、別に知られたかてお母ちゃんが火を噴くか知れへんくらいやねんけどな」
 佐々木は笑った。
「でも俺、直ちゃんからそれ聞いて、最近ちょっとグジグジしてた自分が情けなくなってたから、沢村のがむしゃらなとこ、見習って戦ってみようかなとか思って」
「戦うって、何か勇ましいな」
「別にそんな大したことじゃないんですけど、自分の中のことってだけで」
 良太は少し眉を顰めながら微笑んだ。
「こないだのスキー合宿はなかなか面白かったですね。いろんな人がいて」
「せやな。自分らでメシ作ったりするんがええよな。直ちゃんもまた行きたい言うてた」
「俺、ちょっとは京助さん、見直したかも。ただ横暴なだけの人じゃないって」
「えらい、言われようやな、京助さん」
 佐々木は笑った。
「まあ、いろいろありまして」
 地下鉄までの道すがら、そんなことを話しながら歩き、自分が声をかけたんだからと奢ってくれた佐々木に礼を言うと、違う線に乗る良太はホームで別れた。

 


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