バレンタインバトル18

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 寝返りをうとうとして、硬いものにぶつかった良太は、今度は逆へ寝返りを打ったものの、そのまま足がベッドから落ちた。
 ひやりと冷気を感じた良太はむくりと起き上がり、のたのたとトイレに向かった。
 これも模様替えされた時に、平造が取りつけてくれたのだが、フットライトが勝手についてくれるので、真っ暗な中で躓いたりすることもなくなった。
 トイレから出てくると、喉が渇いていることに気づいてキッチンに立ち、ポカリスエットをその場でゴクゴクと飲み干した良太は、またベッドに戻って倒れこんだ。
「うわっ!」
 途端、ベッドではないものの上にダイビングしたことに気づき、また起き上がろうとして、腕を取られた。
「いってぇな」
「な、何であんた、いるんだよ!」
 のっそりと工藤は裸の身体を起こした。
 九時頃だったか、工藤はシャワーを浴びたあと、バスローブ一枚で一つ二つ気になっていた案件があり、海外と連絡を取ったりしていたが、ベッドに横になったままの良太が起きる気配もないのでそのまま自分の部屋へ戻ろうと腰を上げた。
「……工藤……さ……」
 その時良太が呼んだのかと思った工藤は振り返ったが、どうやら良太の寝言らしかった。
 しばし寝顔を見ているうちに工藤は何となく帰りそびれたのだ。
「いい加減にしろよ、沢村から美味い酒もらったからって嬉しそうに、俺に飲め飲めって言ったのはどこのどいつだ?」
 工藤に揶揄されて良太の頭からまだ残っていた酔いが吹っ飛んだ。
「……誰が嬉しそうにだよ!」
 良太は突っかかる。
 ところが掴まれた腕を引っ張られて、今度はベッドに押し付けられた。
「まだ真夜中だ。お前が酔っ払ってとっとと寝ちまったから、こっちは手持ち無沙汰だったんだ」
「な、ちょ……! わ!」
「色気のない声を出すな」
 後ろに手を回して良太のスウェットを下着ごとスルリと脱がせた工藤はニヤリと笑う。
「工藤、あんた! 飛行機飛ばなかったイライラを俺で晴らしたいだけだろ! う……あっ……っ!!」
 曝け出された下肢にいきなり指が絡みつき、良太はまだ何か言おうとした唇を塞がれた。
 だいたい、あんなものに嬉しそうにしやがって。
 自分を情動へと突き動かしているものの正体は工藤もよくわかっていた。
 喉に引っかかった小骨のような、些細だがどうにも許しがたい、くだらない嫉妬だ。
 たかだか沢村が半分おふざけでボトルに書いたのだろうハートマークつきの文字ごときが癇に障り、つい頭に血がのぼった。
 工藤はまだじたばたと小さく抵抗する良太に覆い被さった。
 キスというより、しつこく口腔を侵されて、良太の身体から力が抜けていく。
 工藤の厚い胸板から熱を感じながら、与えられる刺激に従順になっていくその間にも、工藤が施す愛撫によって良太はゆっくりとほころび始める。
 工藤を知る身体は工藤が押し入ってきた時にはもう甘く溶けていた。
「くど…! …んっ! はあっ……あっ……」
 言葉にはならず、ただ良太は喘がされる。
 幾度も強く揺さぶられ追い上げられると、尚も工藤を離したくないと良太の腰が勝手に揺れる。
「……やっ」
「正直じゃないか。まだ……欲しいのか?」
 色を含んだ低い声は良太の身体の芯までも奮わせる。
「……足りな……」
 工藤は笑い、弾力のある若い竹のような良太の身体をまた責め始めた。
「……あ……んん……っ!」
 一層深く身体を繋げながら、甘くなった良太の声が迸るのを工藤はじっくりと堪能する。
「……工藤…くど……!」
 良太の全てを工藤で一杯にして、良太は工藤を呼んだ。
 工藤に抱きしめられて大きなその背中にしがみついていられるのなら、もうどうなっても構わないなんて思いながら、良太は意識を手放した。

 


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