それにしてもきれいな男だと工藤は寝顔を見つめる。
酒なんか飲んでいたが、もしかして高校生とか?
バーで会った時は相当怒っていたようすで怜悧な感じがしたのだが、こうして眠っている顔はむしろあどけなく、穢れの似合わない気高さすら窺える。
この清冽な美貌の主を綾小路京助が喰らうのかと、ふと思ったとき、工藤は妙にイラついた。
そのイラつきがまた自分でウザったくて仕方ない工藤は、服を脱ぎ捨ててバスルームのドアを乱暴に開けると、頭からシャワーを浴びた。
バスローブを羽織り、タオルで頭をガシガシ拭いながら工藤がバスルームから出てきた時、千雪がフラリとベッドから起き上がった。
「おい、どうした?」
「……気持ちわる……トイレ……」
「しょうがねぇな、こっちだ」
怒りに任せて飲んだせいで悪酔いしたらしいと、工藤に支えられるようにして千雪はフラフラとバスルームのドアを開けた。
「大丈夫か?」
声をかけた工藤には答えもせず、千雪はドアを閉めた。
漠然とそこがどこだろうなどと思うのだが、気持ち悪さにそんなことはどこかに飛んでしまう。
あらかた吐いたので吐き気はなくなったが、口をゆすぎ、ついでにトイレを済ませるくらいは、何とか酔った頭でもわかっていたつもりだった。
だがもう一度口をゆすいでうがいをし、顔を洗った時、セーターやらジーンズやらが濡れてしまった。
近くにあったタオルで拭いたつもりだったのだが、酔っているせいで判断力が乏しく、まだ濡れたままでバスルームを出る。
「おい…」
グラスを片手に銜えた煙草を噛みながら、翌日のスケジュールの確認をしていた工藤は、千雪がまたフラフラとベッドに戻って倒れこむのを見て、眉をひそめた。
「やっぱガキか……」
このようすでは玄人ではあるまい。
大方、京助を振ったはいいが、半分は気持ちを残して慣れない自棄酒を呷ったってとこか。
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