高校の卒業式に撮った写真と、互いに交換した学生服のボタン。
それは千雪の机の引き出しの奥にまだ仕舞い込まれている。
千雪の知らないうちに研二が結婚したと聞いた時もさほど驚かなかった。
江美子に言われる前から、互いに思いはわかっていた気がする。
だが、研二はその思いを、研二は金沢へ、千雪は東京へと旅立つあの日に全て終わらせたのだろう。
そうとわかった今は、あの卒業式の日道に散った花の記憶までもが心を苦しくさせる。
いや、彼女に会うて目が覚めたのかもしれん。
いくら見てくれがどうあれ、小林千雪は男でしかないて。
母が去り父が去り、江美子も、研二も自分から去っていった。
けれど置き去りにされた千雪の心は、動けないでいる。
思いは誰もが一様ではない。
研二が終わりにしたとしても、千雪の中では終わってはいない。
京助のことを好きなのは嘘ではない。
けど……
京助は研二やない。
俺は研二がいない空白を、ちょうどうまい具合に近づいてきた京助に求めて、研二の身代わりにしたんや。
それももう、これでしまいや。
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