こういう『手腕』を発揮して、女とかも陥落させると。
タラシより詐欺師やな。
「ほな、お休みなさい」
一緒に玄関を出た千雪は、一応、京助の車に乗りこんだ。
「今さっき、聞いたように、伯父の家に引っ越そうか思うてる」
とっととケリをつけてしまわないと、いつまでもグジグジダラダラ頭の中で考え込んでしまうだけだと、車が走り出したところで、千雪は切り出した。
「それで?」
「今までみたいなつき合いは、しまいや」
すると京助は、フン、と鼻で笑う。
「回りくどいことを言うなよ。要はお前、あのくだらねぇ雑誌見て、彼女を妬いたんだろ?」
その傲慢な台詞に千雪はカチンときた。
「お前ってほんま、傲岸不遜を絵に描いたようなやつやな」
「悪かったな。いいか、あいつは昔留学中にちょっとつき合ってただけで、わざわざ俺のうちへ連絡をくれたから旧交を温めたってとこだ。別にだからこれからどうだなんてんじゃねぇ!」
京助は頭ごなしに声を荒げる。
「一晩かけてただ旧交温めてたわけやないやろ? 彼女の部屋で」
千雪は静かに言った。
京助はしばらく黙り込んだ。
そして徐に口を開いた。
「あいつ、昔、自分の運転する車で事故って、同乗していた姉さんだけ死んだんだ。それからウツになって、薬で抑えて仕事はしていたんだが、俺がこっちに戻ってから、アルコール依存症でしばらく施設に入ってたこともあったみたいで。それも克服して何とかやっていけそうって時に、事故とか目の当たりにしたことがあって、トラウマが出てきたらしい。今度はクスリやるようになったらしくて、実は彼女のマネージャーから連絡をもらったんだ」
車は麻布方面に向かっていた。
京助は自分の部屋へ千雪を連れて行くつもりだった。
それをわかって、ちょうど鳥居坂辺りの信号で停まった時、千雪はいきなり車を降りた。
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