メリーゴーランド159

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「いいってっだろ? あいつらも勝手に押しかけやがったんだ。部屋は南側のを使えって言っておいたし、それ以上やる必要はない」
 きっぱりと京助は言った。
「昼は握り飯にしてよかった。これからハイキングに行く。お前も来るか?」
「いや、俺は………」
「じゃあ、部屋に閉じこもるなり、出かけるなり好きにしてろ。一切やつらの要望なんかに答えなくていいからな。お茶セットなんかそこに並べて置けばいい」
「はあ………」
 京助の剣幕に公一はたじたじとなってしまい、コクコクと頷いた。
 藤原に何を言われようが、京助の命の方が絶対だ。
 京助は公一に念を押すと部屋からリュックを持って降りてきて、おにぎりが入ったタッパと卵焼きとウインナという、定番のおかずが入ったタッパをリュックに入れ、ガキ大将よろしく、でかい男たちの先頭に立って別荘を出た。
 信濃路自然歩道の入り口まで車で向かうと、そこから徒歩で遊歩道へと入っていく。
 紅葉のせせらぎの道を歩き、間もなく竜返しの滝に着くと、大きな男たちが小学生のようにはしゃいで携帯で写真を撮りまくる。
 針葉樹の森を抜け、やがて白糸の滝に辿り着いた。
 ゆっくり歩いても二時間とかからなかったが、みんなが子供にかえって笑っていた。
 主に道化るのは三田村と辻担当で、すぐ千雪をいじり、千雪がマジ切れっぽく追い回すのを研二がよしよしと止める、といった具合にそれぞれ役割分担が決まっているようだった。
 研二と三田村が自販機でお茶を買ってくると、京助が弁当を取り出した。
 辻が「うおー、腹減った!」と雄たけびを上げると、三田村が「うるさいわ」と突っ込み、「小学生ん時の遠足みたいや」と千雪が言えば、「うまいわ!」と研二がおにぎりに齧りつく。
「運動した後で、こんな景色ン中だとどんな粗食でもこの上なくうまいわな」
 京助が苦笑する。
 あっという間にタッパは空になった。
「足りなけりゃ、そこの茶屋で何か食うか?」
「とりあえず、ちょっとその辺歩いてからにしますわ」
 辻と三田村が立ち上がった。
「せえけど、さっきのお客さん、放っといてよかったんですか?」
 研二が京助に尋ねた。

 


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