メリーゴーランド177

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「ええ、もうそこいらへんは何でも。けど、青山プロダクションも秋山さんのような方が入られて、ほんまによかったですわ。工藤さん、いつかて八面六臂で飛び回っておられるし」
「はい、私にできる限りのことはやらせていただくつもりです」
 しかし表情から秋山が何を考えているのかわからないタイプだと千雪は思った。
 秋山はアスカに一言二言言い置くと、京助に挨拶をして別荘を出て行った。
「あ、平造さんに、よろしゅうお伝えください」
 出がけに、千雪がそれだけ伝えると秋山は「かしこまりました」と姿勢よく返事をした。
「あたし、苦手。ああゆう、何考えてるかわからないタイプ」
 秋山が帰ると、アスカがぽつりと言った。
「でも秋山さんはアスカさんのことようわかってはるみたいやし、マネージャーとしては満点タイプやない? 少なくともアスカさんほっぽり出して恋人といちゃついとった前のマネージャーとは比べ物にならへん」
 すると「そうだけどお……」とアスカは口を尖らせる。
「食べ過ぎないようにとか、睡眠をちゃんととれとか、うるさいし」
「それだけアスカさんのこと考えてくれはるン有難いことやん」
 そういえば、と千雪はふと思う。
 東京に来てから、こんな風に話せる京都の友達以外の女の子はアスカが初めてだと。
 それこそ見かけによらず、ざっくばらんやからか。
 まあ、佐久間が余計な心配してくれよったように、あのナリやから女の子なんか近づいて来いへんかったもんな。
 ああ、そういえば昔、、推理小説研究会に俺のファンやいう子と珍しく話したこともあったけど。
 その推理小説研究会は、今現在、風化してしまった。
「千雪、飲み、俺らの部屋やから」
 三田村が階段の上から千雪に言った。
「わかった」
「お前、ゲームばっかやってんなや」
 三田村を見て研二が笑うのが千雪にもみえた。
「ねえ、あのさ………」
「え?」
 振り返った千雪をアスカはじっと見つめた。
「工藤さんて、ほんとにユキのこと、売り出そうとか思ってない?」
「冗談でも俺はパス」
 ということは冗談ぽく誘われたことがあったわけだ、とアスカは思った。
 そうよね、これだけ美貌の逸材、他にいないわよ。
 初めからバタバタしてたから、あまり考えたことなかったけど。
 結局、肝心なことはやはり千雪には聞けずにアスカは京助を探した。
 京助はキッチンで片づけのチェックをしていた。


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