「嫌味なイタズラに決まってるやろ。俺にバラの花束やなんて」
千雪はそそくさと立ち上がった。
京助が今度は何を言い出すかわかったものではない。
「ほな、ごちそさん、教授に呼ばれてるし」
千雪はじっと自分を睨みつける京助のきつい視線を背中に感じながら学食を出た。
何やね、三田村も京助も勝手なことしおってからに………
とはいえ、さっきのサラダといい、自分のことをさり気に気にかけてくれて、いつも食事を作ったりしてくれる京助に対して、それこそ何か礼をした方がいいよなと、と千雪は雪でも降りそうにどんよりした空を見上げてふと思うのだった。