「あ、俺やけど」
小林は言いにくそうに答えた。
身に着けていたものを即席にプレゼントにしたことがちょっと心苦しいのだ。
しかも、その小林を悠がジロっと睨みつけた。
「え……」
よほどいやだったのだろうか、と小林は申し訳なく思うが、すぐ悠は目をそらし、壁際に腰を降ろしてしまう。
ディズニーランドのチケットを見つけたのは啓子だ。
「え、でもいいんですかぁ?」
「いいに決まってるだろ」
あらかた見つかってしまい、最後から二番目のくじを引いた文世は、直子と一緒にきた元気な女の子だ。
「ええ、わからないーーー!」
右往左往している彼女に、「右だ、右」「あ、上だって、もちょっと」などとからかうんだか教えるんだかわからない男どもの声がかかる。
ようやくゲットしたのは、藤堂が用意した最新型携帯だ。
やがてくじで最後を引いた小林の番になる。
ほとんど見つかっているわけだから、どこを探せばいいか、とあたりを見回しながらしばし考える。
「みなさんが探していないところ、やね」
キッチンも隣の部屋も、リビングも人の手がついていないところはないように見える。
だが、あと三個は残っているわけで。
ちょっと小首を傾げ、小林はじっとアイちゃんを見つめると、彼のベッドまで行った。
そして、アイちゃんを撫でてやりながら、彼がもたれているクッションの後ろあたりに手を入れた。
覆いのある、大きなベッドは寝心地がよさそうだ。
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